
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.4.10
スワップ・スプレッドの急拡大
4月9日に発生した「債券市場におけるスワップ・スプレッドの急拡大」が、人々の注目を世界的に集め始めているが、この理由としては、「金融問題の本丸」とも言える「デリバティブ」や「債券」の問題が隠しきれなくなった可能性が挙げられるものと考えている。つまり、現在では、「国債価格の下落による含み損」が膨らむとともに、「巨大金融機関の破綻」までもが噂され始めた状況となっているために、今後は、「OTCデリバティブの巨額損失」が表面化する可能性が高まった状況とも思われるのである。
そのために、今後の注意点としては、「2008年のリーマンショック」の時と同様に「巨大な金融機関が連鎖破綻を始める可能性」のみならず、「1991年のソ連」の時と同様に「国債の買い手が消滅する可能性」が挙げられるものと考えている。つまり、「イエレン前財務長官の置き土産」とでも呼ぶべき「大量に発行された短期国債」に関して、今後、「大量の償還」が到来するために、現在では、「誰が買うのか?」が見えない状況であることも理解できるのである。
より詳しく申し上げると、「トランプ大統領の目くらまし作戦の一つ」と思われる「トランプ関税」については、基本的に、「金融混乱の根底に存在するデリバティブや国債の問題から、国民の眼をそらすための手段」だったものと思われるが、結果としては、「世界中の人々から、米国への信用を奪った状況」だったことも理解できるのである。つまり、「貨幣や通貨の根本が、人々の間に存在する信用」でありながら、現在では、「誰も米国やトランプ大統領を信用する人がいなくなった状況」のようにも思われるのである。
別の言葉では、「デリバティブが創り出したデジタル通貨」の存在により復活した「米国の威厳や信頼感」については、現在、「1990年代の半ば」と同様に、再度、「金融システムの崩壊危機」に見舞われているものと考えられるのである。つまり、「影も形も存在しない単なる数字」であるデジタル通貨を頼りにして「世界中からさまざまな商品を買い漁っていた米国」は、今後、「デリバティブ大膨張の後始末」や「米ドルの実質的な価値減少」、および、「商品価格の急騰」に悩まされるものと考えられるのである。
そして、この点に関する兆候的な現象が、冒頭の「スワップ・スプレッドの急拡大」とも想定されるために、今後の注意点としては、「先進各国における金利の急騰」や、すでに噂が出始めている「巨大金融機関への資本注入」などに対して、今まで以上の警戒心を抱くことのようにも感じている。