
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.4.2
未来が読める四次元の経済学
金融界に従事して、今年で49年目を迎えたが、この間、一貫して模索し続けてきたことは、「お金とは、いったい、どのようなものなのか?」であり、また、「歴史のサイクル」や「心の謎」だった。そして、現在では、これらの問題に対して、ある程度の答えが得られるとともに、「未来予測」に関して、自分なりの「ひな型」ができたものと感じているが、実際には、「文明法則史学」の「1600年サイクル」を利用しながら、「この期間に、人々の共同体が、どのように形成されるのか?」を理解することである。
より詳しく申し上げると、「マネーの歴史」を辿っていた時に気付かされたことは、「西ローマ帝国の崩壊後から近代までの約1500年間、ほとんどの場合において、金(ゴールド)や銀(シルバー)が貨幣や通貨として使われていた事実」だった。別の言葉では、「西ローマ帝国」や「現代の文明社会」のような「金や銀を利用して、より巨額の通貨や貨幣が創り出された状況」ではなかったものと理解できるのである。
しかも、現在の通貨制度については、「1971年のニクソンショック」以降、「単なる数字が本位通貨となり、世界のコンピューターネットワークを駆け巡っている状況」のために、「本来の金や銀と比較して、現在、どれほどの通貨が存在するのか?」を誰も認識していない状況とも想定されるのである。つまり、「裸の王様」が世界中を闊歩しているような状態とも考えられるが、実際のところ、「瓦礫でも通貨として通用する」という「江戸時代の日本の奉行が述べた言葉」のとおりに、「根底の信用」が存在する限り、「どのようなものでも、商品との交換が可能な状況」ともいえるのである。
そのために、私自身は、「1600年前と現在とが似たような状況ではないか?」、あるいは、「共同体の規模拡大に伴い、貨幣の残高が増加するのではないか?」という認識のもとに、「貨幣残高の推移を理解することにより、ある程度の未来予測が可能ではないか?」と感じるようになったのである。ただし、この時の注意点としては、「自然科学や社会科学が、現在、どのような次元に位置するのか?」を考えることであり、実際には、「11次元にまで進化した自然科学」と「3次元に留まっている社会科学」である。
そして、今後の展開としては、「社会科学の次元上昇」により、「戦争のない社会」、あるいは、「貨幣のいらない社会」などの到来を期待しているが、この時の注目点は、これから想定される「未曽有の規模での金融大混乱」において、私自身の「四次元の経済学」が、どれほどの有効性を発揮するのかだと感じている。