本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.4.1

中国国有4行への10兆円増資

3月30日に「中国国有4行への10兆円増資」が発表されたが、この記事から思い出されたことは、「1998年に実施された長銀への増資」であり、また、「その後のデリバティブの大膨張」だった。つまり、「日本のバブル」が破裂し、「世界的な金融システム」が崩壊の危機を迎えたのが「1998年」だったが、この時に行われたのが、「長銀への増資」であり、また、「民間金融機関が、オフバランスでデリバティブを大膨張させた状況」だったのである。

別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「政府などの信用を本位とした通貨制度」については、基本的に、「前半の26年」と「後半の26年」に分かれているものと考えている。そして、「前半の26年間(1971年から1997年)」の最終段階で発生したのが、「タイから始まった世界的な信用収縮」であり、結果としては、「1998年の世界的な金融大混乱」につながったことも理解できるのである。

そのために、当時の私自身は、「この前後から、世界的な紙幣の大増刷が始まるのではないか?」と考えていたが、実際に行われたことは、想定外の「民間金融機関によるオフバランスでのデリバティブの大膨張」だったのである。しかも、この時の「マネー(貨幣)大膨張の規模」については、「前半の日本バブルにおける約3000兆円」と比較して「約30倍の約9京円」という規模だったことも思い出されるのである。

より詳しく申し上げると、「デリバティブとデジタル通貨の大膨張」により「未曽有の規模でのバブル相場」が先進各国を中心にして繰り広げられたわけだが、この動きがピークを付けた「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」以降は、「量的緩和(QE)という名のリフレーション政策」が実施された状況だったことも理解できるのである。つまり、「大量に創られたデジタル通貨」を利用して、「世界的な超低金利状態」のみならず、「マイナス金利」までもが発生した状況のことである。

しかし、「どのようなバブルも、必ず弾ける運命にある」ということが「歴史の必然」とも言えるが、今回の「中国国有銀行への増資」に関しては、「1998年の長銀への増資」と似たような意味を持っているものと感じている。つまり、「人類史上、未曽有の規模での大バブル」とも言える「デリバティブの大膨張と崩壊」に関して、現在は、「問題の隠ぺいや先送り」が時間的な限界点に達するとともに、間もなく、「世界全体で、紙幣の大増刷が実施され始める可能性」のことである。