本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.3.27

経済学の未来

現在の世界では、「お金を欲しがる人」が数多く存在しながらも、「経済理論を学ぼうとする人」が激減している状況とも思われるが、この理由としては、「時代遅れで役に立たなくなった経済学」の存在が指摘できるものと考えている。つまり、「時代の変化に対応できず、未来予測のみならず、現状説明もできないような状態」となっているために、「経済学を研究する人が激減している状況」のことである。

より詳しく申し上げると、「西暦1800年からの約200年間」については、「実体経済」のみならず、「マネー(通貨や貨幣)」が大膨張した時期だったものの、「経済学」に関しては、「この間の変化を、ほとんど認識できなかった状況」とも理解できるのである。そのために、現在は、「経済学の未来」を危惧せざるを得ない状況とも思われるが、これから予想される変化としては、「現状を正確に理解し、適切な対応を取った人々」が「次の時代の成功者」となる可能性も想定されるようである。

具体的には、「時代遅れの貨幣」となりつつある「デジタル通貨」に固執した人々が、すでに始まった「世界的なハイパーインフレ」に対応できなくなる可能性でもあるが、現在では、「世界各国の巨額な債務残高」に危機意識を抱いた人々が、慌てて、「金(ゴールド)や銀(シルバー)などの実物資産」を買い始めたことも見て取れるのである。つまり、現在では、「世界的なリフレーション政策」、すなわち、「民間部門の資金を吸い上げ、中央銀行が国債を買い付ける政策」が限界点に達したために、本来の「マネー」である「金や銀」に、世界の資金が殺到し始めたものと思われるのである。

別の言葉では、「通貨への信頼感」を喪失した人々が、「日本の米」や「アメリカの卵」など、「価格が急騰している商品」に殺到し始めた状況のことでもあるが、この点に関して、現在、注意すべき事実は、「数量に限りのある実物資産」と「無制限に創り出せるデジタル通貨」との関係性とも言えるのである。つまり、「コンピューターネットワーク」の中で、縦横無尽に動き回ることができる「現代のデジタル通貨」が、今後、「紙幣に変換されたときに、コンピューターネットワークで利用できなくなる事実」である。

その結果として、今後の展開としては、「1923年のドイツ」のように「約6ヶ月という期間に、食料品などの価格が天文的な急騰を見せる可能性」も想定されるが、このような状況下で役に立つのは、やはり、「1971年のニクソンショック」以前に用いられていた「金」や「銀」などの貨幣とも考えられるのである。