
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.3.25
ランダムウォーク理論の弊害
現在の「経済学や金融理論の停滞」に関しては、「ランダムウォーク理論の弊害」が要因の一つとして挙げられるようだが、実際のところ、「今日と明日の株価変化は正規分布の状態となるために、金融市場ではトレンドやサイクルは存在しない」ということが、私自身が40年ほど前に教えられたことだったのである。しかし、その後の「投資の実践」で海外のファンドマネージャー達から教えられたことは、「MBAの投資理論は実践の役に立たない」ということであり、そのために、私自身としては、「さまざまなサイクル論を応用しながら、未来予測に挑戦してきた状況」でもあったのである。
より具体的に申し上げると、「経済理論の有効性」に関しては、「どれだけの正確さを持って現状説明ができるのか?」が指摘できるが、「現在の経済学」については、「ほとんど役に立っていないのではないか?」とも感じられるのである。別の言葉では、「過去40年間の実践投資」において、私自身は、経済統計の数字をほとんど利用しなかったが、結果としては、「高いリターンを得ることができた」という状況だったのである。
より詳しく申し上げると、「文明法則史学の1600年サイクル」を利用することにより、「貨幣膨張のメカニズム」や「今後、世界の資金が、どのような商品に向かうのか?」について、ある程度、予測が可能な状況になったものと感じられるのである。つまり、「オリンピックの歴史」と同様に、「貨幣の残高」が「西暦1900年前後までの約1500年間にわたり、ほとんど膨張しなかった事実」のことである。
しかし、「1913年のFRB創設」や「1971年のニクソンショック」をキッカケにして、未曽有の速度で「貨幣残高の膨張」が始まったことも見て取れるが、この点については、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と似たような展開だったことも理解できるのである。つまり、「過去50年余りの世界経済」に関しては、「デリバティブやデジタル通貨の大膨張」を理解しない限り説明が不可能な状況だったものの、この時に妨げとなったのが、「既存の経済学」や「金融理論」だったものと思われるのである。
そのために、これから必要なことは、「1600年前の歴史」を参考にしながら、「間もなく訪れるデジタル通貨の消滅の後に、どのような世界が訪れるのか?」を考えることとも思われるのである。つまり、「西洋の物質文明」が象徴する「奪い合いの時代」から「東洋の精神文明」が象徴する「分かち合いの時代」への移行であり、この時に役に立つのが、「日本の失われた30年間の分析ではないか?」とも思われるのである。