本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.3.20

皇帝主義の弊害

西暦2010年前後に完成したものと思われる「世界の皇帝主義」、すなわち、「中ロの軍事的独裁体制」や「米国の資本的な独裁体制」については、現在、「さまざまな弊害」が露呈し始めているものと感じている。具体的には、「中ロの軍事的な帝国主義」であり、また、「米国への資本集中」のことだが、実際には、「プーチン大統領によるあまりにも無謀なウクライナ侵攻」であり、また、「中国による台湾進攻の懸念」、そして、「トランプ大統領による暴力的な経済政策」のことである。

そして、この点については、100年ほど前に著された「シュペングラーの西洋の没落」で述べられていることでもあるが、具体的には、「大都市の知性と貨幣」という「共同体の規模拡大がもたらした通貨の大膨張」と「一般大衆の隷従化」により、「権力を持った独裁者が、国民の生活を破壊し始める状況」のことである。別の言葉では、「このような過程を経て一般大衆の覚醒が始まる可能性」も想定されるが、「1600年に一度」とでもいうべき大混乱に見舞われた人々にとっては、「歴史の全体像」などを考える余裕はなく、単に、日々の出来事に一喜一憂せざるを得ない状況とも考えられるのである。

そのために、現時点で必要なことは、すでに始まっている「グローバル共同体の崩壊と分裂」に関して、「歴史の全体像」を踏まえながら「原因」や「要因」を考えることだと思われるが、実際には、「貨幣の歴史」を認識しながら、「現在の世界情勢が、膨張した貨幣によって、どのように変化してきたのか?」を理解することである。別の言葉では、今後の「貨幣残高の実質的な激減期」に際して、「どのような社会変化が発生するのか?」を、世界中の人々が考え始める展開のことである。

より具体的には、「デリバティブの完全崩壊とともに、さまざまな金融機関が破綻する可能性」であり、また、「この様な状況下で、大量の紙幣が世界的に増刷される可能性」を考えることである。しかも、この時には、「金融界の白血病」という「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない事態」も想定されるために、現在の「膨大な金額の金融商品」に関しては、今後、「決済面での問題」が発生するものと思われるのである。

つまり、すでに始まった「貴金属の奪い合い」と同様に、「実物資産の奪い合い」が発生するものと思われるが、その時に重要な役割を果たすのは、現在の「デジタル通貨」ではなく、「以前の金や銀、あるいは、銅などの貨幣」だと考えている。