本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.3.19

金と国債を巡る攻防戦

最近の「米国における大量の金(ゴールド)や銀(シルバー)の現引き」と「先進各国における長期金利の上昇」については、「過去30年間にも及んだ金(ゴールド)と国債との攻防戦」が終焉の時を迎えたことを表す出来事のようにも感じている。つまり、今までは、「先進各国のメガバンクが政府と協調して、大量のデリバティブを積み上げながら、政府が発行する国債の購入に邁進してきた状況」だったことも理解できるのである。

より具体的には、「日本」を中心にして、「西洋の先進各国」が、「大量に発行された国債を購入しながら、その裏側で、貴金属のみならず、為替や金利、そして、株式の価格までをもコントロールしてきた状況」のことである。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「政府の信用を本位とした通貨制度」、および、「大膨張した通貨で支えられている現在の金融システム」を守るために、「簿外取引でのデリバティブの積み上げ」や「デリバティブを利用した市場価格操作」など、ありとあらゆる手段が行使されてきた状況のことである。

しかし、歴史の教訓としては、「どのようなバブルといえども、必ず、弾ける運命にある」という事実が指摘できるとともに、現在は、「未曽有の規模でのデジタル通貨バブル、あるいは、信用バブル」が、まさに崩壊の危機に瀕しているものと考えられるのである。つまり、「先進各国の長期金利上昇」におびえた人々が、慌てて、「現物の貴金属」を購入し始めたものと思われるが、このことは、今までに積み上がった「金(ゴールド)や銀(シルバー)の売りポジション」、および、「国債の買いポジション」が、急速な巻き戻しに見舞われている状況とも考えられるのである。

より詳しく申し上げると、現在の世界的な金融情勢は、「1991年のソ連」と似たような展開となっており、当時は、「長期金利の買い手」が消滅した後に、「短期金利の買い手」が消滅し、その後は、「インクが無くなるまで、大量の紙幣増刷が実施された状況」だったことも見て取れるのである。

そして、このような状況下で、「将棋の米永元名人」が述べたことは、「ルーブルで金(ゴールド)を買っていたら大儲けできた」ということだったが、今回は、「デジタル通貨で金や銀を買っておけば、金融大混乱を無事に乗り切れるのではないか?」ということであり、このことは、私が今まで申し上げてきたことであるとともに、現時点では、すでに「未曽有の規模での金融大混乱」が始まった段階のようにも感じられるのである。