本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.3.18

法治国家と皇帝主義

現在の「トランプ大統領の暴走や愚行」については、「今後の世界が、どのような展開を見せるのか?」が気にならざるを得ない状況のようにも感じているが、実際には、さまざまな噂が出始めた「核兵器を使用した第三次世界大戦が始まる可能性」などのことである。別の言葉では、現在の世界情勢が、100年ほど前に「シュペングラー」が指摘した「皇帝主義によって崩壊する法治国家」が、ぴったり当てはまる状況のようにも感じられるのである。

そのために、現時点で必要とされることは、「なぜ、このような状態になったのか?」を、歴史的な観点から見直すことであり、具体的には、「共同体の規模拡大が発生させた通貨や貨幣の大膨張」、そして、「その裏側に存在した盲目的信用や隷従化によって作り出された皇帝主義」などのメカニズムを徹底的に解明することである。そして、この時に必要とされることは、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」を参考にしながら、「今後、どのような時代が訪れるのか?」を考えることのようにも感じている。

より詳しく申し上げると、現在の「ロシアとウクライナの戦争」などを参考にしながら、「今後、どのような展開が想定されるのか?」を考えることでもあるが、実際に起こっていることとしては、「第二次世界大戦までの帝国主義」ではなく、すでに始まっている「グローバル共同体の分裂と崩壊」が加速している状況とも思われるのである。つまり、「1991年のソ連崩壊」で発生した「形式的な国家分裂」が、現在、「実質的な内戦」となって発生している可能性のことだが、今回の戦争で世界が認識したことは、「戦争のコスト」ともいえる「経済的な悪影響の甚大さ」でもあったようだ。

具体的には、「世界第二位の軍事大国」と言われた「ロシア」が、これほどまでに「ウクライナの侵攻に手を焼いている状況」については、実際のところ、「世界中の国々が、侵略戦争に対する認識を改めている段階」とも思われるのである。つまり、「戦費の調達」のみならず、「他国との経済的な分断がもたらす悪影響」などにより、今後、「他国への侵略を企てる国家が激減する可能性」である。

しかも、現時点で予想されることは、以前から危惧されていた「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」の完全崩壊であり、仮に、この大事件が発生した時には、世界中の国々が、「資金的な枯渇」のみならず、「国内政治の大混乱」に見舞われる結果として、より一層、侵略戦争に費やす余裕がなくなる可能性も想定されるのである。