本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.3.12

トランプ大統領が目論む逆ニクソンショック

現在の「トランプ関税」や「ウクライナの停戦」などについては、「トランプ大統領の目くらまし作戦」の「表の部分」であり、その裏側の「真の目的」としては、「逆ニクソンショックの目論見」が存在するものと考えている。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」が、現在、完全な行き詰まりを見せているために、「新たな通貨制度の創設」を目論んでいる可能性である。

より詳しく申し上げると、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」、すなわち、「民間金融機関が、簿外で大量の金融資産と負債を積み増した展開」については、現在、「先進各国の中央銀行までもが資金の枯渇に悩まされ始めた状態」となっていることも理解できるのである。そのために、トランプ大統領にとっては、「何らかの方法で、債務残高を減らしながら、資金供給を増やす思惑」が存在するものと思われるが、実際には、「マールアラーゴ合意」と呼ばれる「金(ゴールド)を担保とした超長期国債をゼロ金利で発行する計画」などが噂されている状況のことである。

別の言葉では、「何らかの手段で、大膨張した国家債務やデリバティブの残高を減らそうとする思惑」のことでもあるが、この点については、今までに詳しく申し上げてきたように、さまざまな問題が発生する可能性も想定されるのである。具体的には、「現在のデジタル通貨そのものが、貨幣の歴史上、きわめて異例なものである」という事態のことだが、この点に関して、現時点でも、世界中の人が気付いていない事実としては、「紙幣がコンピューターネットワークの中で使用不能な状況」が指摘できるのである。

つまり、多くの人は、「過去数十年間で、世界各国が大量の紙幣を印刷してきた」と理解しているが、実際には、「紙幣ではなく、大量のデジタル通貨が創り出されるとともに、単なる数字として、世界のコンピューターネットワークの中を駆け巡っていただけの状況」だったことも見て取れるのである。その結果として、現在では、「この事実に気付いた人々が、こっそりと、現物の金や銀などを買い集め始めた状況」のようにも思われるが、今後の展開としては、「劇場の火事」のように、「一般大衆が、一斉に、この動きに追随し始める可能性」も想定されるのである。

具体的には、「80億人の換物運動」が始まり、「未曽有の規模とスピードでハイパーインフレが発生する可能性」のことだが、私自身としては、このことが、「トランプ大統領が目論む逆ニクソンショックが、結果として実現される展開」のようにも感じている。