本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.2.27

過去100年間のハイパーインフレ

「1923年ドイツのハイパーインフレ」をキッカケとして、「インフレ」という言葉が経済用語となったが、その後の展開としては、「約100年間で30か国がハイパーインフレに見舞われた状況」とも言われている。具体的には、「1945年の日本」や「1991年のソ連」などだが、この点について、より詳細な分析を行うと、「1971年のニクソンショック」を境にして、「ハイパーインフレ経験後の経済復活に、大きな違いが存在した可能性」が指摘できる状況のようにも感じている。

つまり、「1923年のドイツ」や「1945年の日本」などについては、ご存じのとおりに、「第二次世界大戦後に驚異的な経済成長を達成するとともに、現在でも、世界の経済大国の位置を占めている状況」となっているのである。しかし、一方で、「1980年代の中南米諸国」や「1990年代の東欧諸国」、あるいは、「2000年代のジンバブエ」などについては、いまだに、「インフレ」に悩まされながら、「新興国や発展国の位置にとどまっている状況」とも言えるのである。

そして、この理由として考えられることは、やはり、「過去50年余りにおよぶ政府の信用などを本位とした通貨制度」の存在であり、実際には、「1980年代初頭から始まったデリバティブとデジタル通貨の大膨張」が挙げられるものと思われるのである。つまり、「2008年前後にピークを付けたグローバル共同体」の成立に際して、「G7などの国々、および、中国」については、「信用膨張と通貨残高の急増」により、経済の繁栄に関して、最も大きな恩恵を受けたものと思われるのである。

具体的には、「世界的なコンピューターネットワークの中で、大量のデジタル通貨が創り出されるとともに、その資金を利用して、未曽有の経済繁栄が達成された状況」のことだが、現在では、反対に、「資産膨張の裏側で大量に積み上がった負債を、どのように処理するのか?」が、きわめて大きな問題となり始めたことも見て取れるのである。つまり、「米国を始めとして、世界各国が国家の債務問題に悩まされ始めた状況」のことだが、この点に関して、最近、顕著に発生し始めた変化が、「2024年11月の大統領選挙以降の米国による実物資産の大量購入」が挙げられるものと感じている。

そして、この理由としては、「米国」を筆頭にして、「世界全体が、インフレによる国家債務の棒引きを実施し始めた可能性」が挙げられるものと思われるために、今後の注意点としては、「実物資産価格が急騰する可能性」が指摘できるものと考えている。