
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.2.26
通貨と信用
「金(ゴールド)がマネーで、その他はクレジット(信用)である」という「JPモルガンの言葉」を、今まで信じていたが、現在では、「クレジットの解釈に関して、若干の修正が必要ではないか?」と認識するようになった。具体的には、「共同体の規模拡大に伴い、信用の量が増加する展開」のことだが、この時の注意点としては、「他人に対する信用には、その裏側に、他人に対する盲目的な隷従性が存在する状態」が指摘できるものと思われるのである。
つまり、「お金に価値を認める人が増えている状況下で、共同作業による分業化が進展し、生産性が高まった時に、その共同体における信用の量が増加する状況」のことであるが、この結果として発生する事態としては、「積みあがった信用が、人々の隷従的な認識変化を伴いながら、通貨に換わる変化」とも理解できるのである。より詳しく申し上げると、「共同体の規模拡大に伴い実体経済が成長し、その結果として、通貨の形態が変化するとともに、残高が増えていった展開」のことでもあるが、実際のところ、「過去100年間には、お金に執着する人が増えながら、金貨から紙幣、そして、デジタル通貨へという形態面での大変化が発生した状況」だったことも見て取れるのである。
そのために、現在、必要なことは、「西暦1800年から2000年までの『資本主義』と呼ばれる時代」において、「マネーである金(ゴールド)」に加えて、紙幣やデジタル通貨などのカレンシー(通貨」が、どのようなメカニズムで大膨張を遂げたのか?」の分析とも思われるのである。別の言葉では、「通貨の堕落」という現象が発生し、「通貨価値の下落」を意味する「インフレーション」が発生したわけだが、現在の経済理論では、この点に対する分析が、ほぼ抜け落ちている状況のようにも感じられるのである。
その結果として、現時点では、すでに始まった「共同体の規模縮小」、および、「信用量の減少」が、「今後、どのような影響を通貨の世界にもたらすのか?」が理解されていない状況のようにも思われるのである。具体的には、「通貨の堕落がもたらす共同体の崩壊と分裂」の促進であり、このことが、ケインズが指摘する「社会秩序の崩壊」のようにも感じられるのである。
そして、これから必要とされることは、「過去100年間に、30か国以上で発生したハイパーインフレ」の徹底研究であり、また、「今後、どのような社会が形成されていくのか?」の理解だと感じている。