
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.2.25
異次元金融緩和の後始末
「異次元金融緩和の後始末」については、現在、「日本」のみならず、「米国」などでも議論され始めたことが見て取れるが、この理由としては、「リフレーション政策の行き詰まり」が指摘できるものと考えている。別の言葉では、「四種類の税金」のうち、最初の三種類が限界点にまで達したために、最後の「目に見える形でのインフレ税」が課される段階に入ったものと思われるのである。
より具体的には、「財政ファイナンス」と呼ばれる「国債のマネタイゼーション」のことでもあるが、実際には、「政府が発行する国債などを、中央銀行が通貨を発行することで直接引き受けること」である。つまり、「1923年のドイツ」や「1991年のソ連」などと同様に、「積もりに積もった国家の累積赤字を、インフレで一挙に解消しようとする動き」のことである。
そのために、今後の注意点としては、「政府の発表」に関して、「真の目論見」を見極める必要性があるものと感じているが、具体的には、「米国のトランプ大統領」のような「目くらまし作戦」に惑わされないことである。つまり、「ウクライナの停戦」や「関税」などについては「人々の関心を得ようとする行為」であり、反対に、「政府保有の金(ゴールド)価格の再評価」や「部分的金本位制への復帰」などが「トランプ大統領が本当に望むこと」のようにも思われるのである。
しかも、この点については、「米中ロの密約」が存在する可能性も考えられるが、実際には、「金価格を暴騰させることにより、世界的なインフレを加速させながら、国家の財政問題を解決しようとする可能性」のことである。具体的には、「約36兆ドルの財政赤字」のみならず、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」などを、一挙に、解消しようとする目論みのことである。
ただし、この時の注意点としては、「1971年のニクソンショック」から始まった「政府の信用などを本位とした通貨制度」において、「資産と負債が、同時に大膨張した事実」も指摘できるのである。つまり、今後、「膨大に膨らんだ負債」を解消しようとすると、同時に発生する現象としては、「同様に大膨張した資産」の解消も想定されるのである。そして、このことは、今までの「一国のみのハイパーインフレ」とは違った現象であり、実際のところ、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」しか、参考になる例が存在しない状況のようにも感じられるのである。