本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.2.22

西洋文明の終焉

2008年前後の「GFC(世界的な金融大混乱)」から始まった「グローバル共同体の崩壊と分裂」は、その後、時間の経過とともに加速度が増しており、現在では、「欧米諸国における国家の内部分裂」に加えて、「G7諸国の分裂」や「米国共和党の内部分裂」までもが発生している状況となっている。別の言葉では、「トランプ大統領の目くらまし政策」により、西洋諸国において、さまざまな亀裂が生じるとともに、いろいろな分野で内部分裂が発生している状況ともいえるのである。

そして、この原因としては、「世界的な信用消滅」が挙げられるものと考えているが、実際には、「人々の間に存在した信頼関係」が消滅を始めた結果として、「何を信用すればよいのかが理解できない社会」への変化が発生しているものと思われるのである。つまり、「信用」を形にした「マネー(お金)」の世界において、典型的な「通貨の堕落」が発生した結果として、現在では、「お金に対する絶対的な信頼感」が失われた状況となっているのである。

より詳しく申し上げると、「西暦1200年から2000年までの西洋文明」では、人々が、「物質的な豊かさ」を追求した結果として、最後の段階では、「デジタル通貨」という「影も形も存在しない単なる数字」が「神様のような状態」に祭り上げられてしまったのである。つまり、「デジタル通貨さえあれば、人生は安泰である」というような「誤った認識」が世界全体に広がったものの、現在では、「通貨価値の下落」や「実物資産価格の上昇」などを見て、多くの人々が、「お金とは、いったい、何だろうか?」と考え始めた状況とも思われるのである。

しかも、このような状況下で発生した現象が、「トランプ大統領再選以降のアメリカで、世界の金(ゴールド)を大量に買い集めた状況」であり、このことは、「1971年のニクソンショック」から始まった「政府の信用だけを本位とした通貨制度」の行き詰まりを象徴する出来事とも考えられるのである。

別の言葉では、「金融システムの崩壊」を危惧した「米国」が、慌てて、「金の大量購入」に走り出したものと想定されるが、実際には、「デジタル通貨が紙幣に交換され始める変化」が始まった可能性のことである。そして、このことは、今までの「物質的な豊かさ」を追い求めた西洋文明」の終焉であるとともに、今後の「精神的な豊かさを求める東洋文明」の始まりを意味している状況ともいえるようである。