本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.10.3

無力化したローマ法

現在の世界情勢は、1600年前の「西ローマ帝国の崩壊時」と酷似した状況のようにも思われるが、この点に関して興味深い事実としては、「無力化したローマ法」が指摘できるものと考えている。具体的には、「紀元前449年の十二表法」から始まったと言われる「ローマ法」が、その後、1000年近い歴史を経たのち、「西暦395年の東西ローマの分裂以降、急速に衰退し、西暦476年の西ローマ帝国の滅亡とともに、ローマ法そのものが忘れ去られた」とも理解されているのである。

つまり、今から1600年前の「西暦423年」の頃は、現在と同様に、「法律の無力化」が始まっていたようだが、この点に関する興味深い事実としては、「米国のサンフランシスコなどで、万引きが横行し、取り締まりができなくなった状況」などが参考になるものと考えている。あるいは、「日銀による、制限を超えた国債や株式などの買い付け」が実施されている事実についても、実際には、以前に「禁じ手」と言われた行為が、その後、「日銀法の度重なる改正により合法化された状況」ともいえるのである。

このように、「お金が神様となった時代」では、「政府や中央銀行までもが、法律を勝手に解釈した状況」となり、このような変化を見た国民の間では、「お金儲けのためなら、法律を無視してもよい」と考える人々が増えていった状況のようにも思われるのである。つまり、現在の世界は、シュペングラーが指摘する「大都市の知性と貨幣」、あるいは、「民主主義から衆愚政治への移行」などの結果として、「都会で住みづらくなった人々が、生き延びるために、法律を無視し始めた状況」のようにも感じられるのである。

そして、最後の段階では、「法律の無力化」にまで進展したわけだが、この事実が意味することは、「今後、約50年間で、同様の混乱が発生する可能性を危惧せざるを得ない状況」とも言えるようである。つまり、「西暦400年から1200年までの西洋の暗黒時代」が、これからの世界で再現される可能性のことでもあるが、この時に「救い」となるのは、やはり、「東洋の仏教」だと考えている。

具体的には、その頃、インドや中国、あるいは、日本などで、盛んに「仏教」が研究され、「東洋の唯心論的な文明」が、花を開き始めた状況のことだが、この理由としては、「神から紙への変化」という「ハイパーインフレによる金融面の焼け野原状態」、あるいは、「グローバル共同体が分裂し、数多くの小さな共同体の誕生」などを経験した人類が、その後、「天や神への信仰」などをもとにして、徐々に、復活した展開のことである。