本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.10.4

世界的な金融システムの崩壊

「2023年8月15日の中国版リーマンショック」から始まったのは、「世界的な金融システムの崩壊」のようにも感じているが、その理由としては、「バブルの歴史」を尋ねた時に、「西暦1600年代の初頭に発生したオランダのチューリップバブル」に行き着くとともに、「その後、時間の経過とともに、バブルの規模が大きくなっている状況」が見て取れるからである。つまり、「時は金なり」という思想の誕生とともに、「オランダで、チューリップのバブルが発生し、球根の値段が、家一軒と同様の価格にまで上昇した」という展開となったわけだが、この理由としては、やはり、「東オランダ貿易会社がもたらしたマネーがバブルを引き起こした状況」が指摘できるものと考えている。

また、その後は、「西暦1800年前後から始まった産業革命」が、「お金(資本)が、最も大切(主義)なものである」という「資本主義」を促進させたわけだが、「マネーの膨張」に関して、特に注目すべき点は、「1913年のFRB創設」だと考えている。つまり、「米国の中央銀行」が創設されてから、「世界のマネー残高増加」に関して、スピードが速くなったものと思われるが、今回、必要なこととしては、「1997年と2023年の金融混乱」を比較しながら分析することとも思われるのである。

より詳しく申し上げると、「日本の土地と株式のバブル崩壊」をキッカケにして始まった「世界的な金融混乱」に関しては、「1997年の信用収縮」により、「世界の金融システム崩壊の危機」にまで至ったことも見て取れるのである。つまり、当時は、「約2500兆円の時価総額」にまで達した「日本の土地バブル」の崩壊により、「約300兆円の不良債権」が発生し、「世界の金融システムが崩壊するのではないか?」と危惧されたのである。  しかし、実際には、「米国の金融機関」を中心にして「奥の手」ともいえる「デリバティブの大膨張」が実施されるとともに、「民間金融機関のバランスシート」が大膨張したことにより、「300兆円の不良債権が、簡単に吸収された」という状況だったのである。

つまり、「新たなバブルを作ることにより、問題の先送りと時間稼ぎが可能だった」という展開でもあったが、この結果として発生したのが、「約30倍規模の不良債権」ともいえるのである。具体的には、「目に見えない金融ツインタワー」である「約600兆ドルのデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」の崩壊がもたらす「約1京円」にも達しようとする「世界的な不良債権」のことである。そして、これから想定される展開としては、やはり、「ハイパーインフレが引き起こす世界的なマネーの消滅」であり、今回は、「世界的な金融システム」そのものが完全崩壊する可能性を憂慮している次第である。