本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.9.21

0と1の間に存在するもの

現在は、「800年に一度の東西文明交代期」に遭遇するとともに、「西洋の物質文明」の象徴である「マネーの大膨張」がピークを付け、すでに、崩壊を始めている段階とも言えるようである。別の言葉では、5000年から6000年の歴史を持つといわれる「世界のマネー」に関して、人類史上、初めて、「デジタル」、すなわち、「単なる数字」が通貨となった時代が終焉の時期を迎えている状況のことである。

より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以降、数多くの小さな共同体に分裂した世界は、その後、「宗教」や「マネー」などの力により、より大きな規模の共同体を形成し始めたことも見て取れるのである。つまり、現在のような「グローバル共同体」が形成されるまでには、実に、「800年の東洋文明」と「800年の西洋文明」の両方を経験する必要性が存在したものと想定されるのである。

そして、現在では、シュペングラーが指摘するように、「大都市の知性と貨幣」が生み出した「皇帝主義」が、「暴力政策で貨幣を破壊する時代」へ移行を始めている段階とも考えられるのである。つまり、「東西冷戦の激化」により、「グローバル共同体」が崩壊し、「信用やマネーの消滅」が始まっているわけだが、この点に関して、現在、求められていることは、やはり、「何が、0と1の間に存在するのか?」を考えることとも言えるようである。

具体的には、「デジタル革命」で求められてきたものが、「コンピューターネットワークの中で、速く情報を伝達すること」であり、その結果として、「0と1の間に存在するもの」が省かれてきた状況だったことも理解できるのである。つまり、「デジタル通貨を儲けるためなら、その他のすべてを犠牲にしてもよい」と言わんばかりの行動のことであり、実際には、「自然環境」のみならず、「他国の利益」や「自国民の精神的な安定」などである。

ただし、「歴史」の不思議な点は、「デジタル通貨の残高がピークを付ける100年ほど前から、すでに、0と1の間を探る研究が始まっていた事実」であり、実際のところ、「量子力学」などの「自然科学」では、すでに、「11次元の世界」にまで到達していることも見て取れるのである。そして、「0と1の間に、何が存在し、どのようなメカニズムが働いているのか?」が研究され始めているが、一方の「社会科学」で発生し始めた現象としては、大量に創られた「デジタル通貨」が、「金融界のブラックホール」から出始めたことにより、「貴金属や原油、そして、食料などの実物資産」の価格上昇のみならず、「過去数百年間、どのようなものがデジタル通貨で失われてきたのか?」の探索とも言えるようである。