本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.9.20

デフレとインフレ

「インフレ」が経済用語として使われるようになったのは、「1923年に発生したドイツのハイパーインフレ」からであり、また、「デフレ」は、同様に、「1929年米国の大恐慌」からであると言われている。そして、この時に、どのようなことが起こったのかを理解すると、「デフレ」と「インフレ」との違いが、鮮明に浮かび上がってくるものと思われるが、実際のところ、「1923年のドイツ」では、「第一次世界大戦の賠償金支払いに窮した政府が、大量の紙幣増刷に踏み切った」という状況だったのである。

しかし、一方で、「1929年のアメリカ」では、「第一次世界大戦に勝利した結果として、大量の金(ゴールド)が米国に流れ込んだ」という状況だったものの、「1923年のドイツ」の教訓により、「保有している金(ゴールド)の不胎化」、すなわち、「インフレを恐れて、金融市場における引き締めを実施した」という状況だったのである。別の言葉では、「金(ゴールド)を大量保有している国は、当然のことながら、その金を利用して、金融機関への資金供給を行うべきだった」という状況でありながら、実際には、「設立されてから歴史の浅いFRBは、全く正反対の政策を実施し、歴史上唯一の大恐慌を発生させた」という状況だったのである。

そのために、現時点で必要とされることは、「デフレとインフレに関する曖昧な議論」に終始するのではなく、「お金とは、いったい、どのようなものなのか?」を考えながら、「過去100年間に、どのような過程を経て、現在の世界的な金融混乱が発生しているのか?」を理解することとも言えるのである。つまり、「問題の先送りや隠ぺい」ではなく、「すべての事実が明らかにされる状況」が必要な段階に差し掛かってきたものと考えているが、実際には、以前から指摘している「約600兆ドルのOTCデリバティブ」であり、また、「約330兆ドルの世界債務残高」のことである。

別の言葉では、「デフレだから、金利を下げるべきだ」というような議論ではなく、「大量のマネーが創られたことにより、過去20年あまりの、世界的な超低金利状態が達成可能だった状況」を、深く認識することである。そして、同時に、「現在では、ほとんどすべての条件が反転したことにより、今後、すさまじい規模でのハイパーインフレが世界を襲う可能性」を考慮することでもあるが、実際には、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」までに創られた「大量のデジタル通貨」が、現在、急速に、「規模の小さな実物資産の市場へ向かい始めている状況」、すなわち、「未曽有の規模でのインフレの大津波が、世界を襲い始めている事実」を認識することである。