本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.9.19

四種類の税金

「税金」に「四つの種類」が存在することは以前に説明したが、具体的には、「目に見える税金」と「目に見えないインフレ税」であり、また、「目に見える税金」が、「現在の税金」と「将来の税金」に分類され、そして、「目に見えないインフレ税」も、「国民が気付かない段階」と「国民が気付く段階」に分けられる状況のことである。つまり、「所得税」や「消費税」などは、「国民が、現在、払っている税金」であり、また、「国債の発行」は、「将来の国民が払う税金」を意味している状況のことである。

また、「目に見えないインフレ税」に関しては、「民間金融機関のバランスシート膨張」が終了し、その後、「中央銀行のバランスシート膨張」へ移行した段階から始まるものと考えているが、この時の注目点は、「国民が気付かない段階」で「リフレーション政策」と呼ばれ、また、「国民が気付く段階」になると「ハイパーインフレ」と呼ばれ始める状況である。つまり、「国家」や「通貨」への信頼感が存在する間は、「インフレ税」の存在に気付かないものの、いったん、「信頼感」が喪失し、「実物資産への資金移動」が始まると、その後は、急速な「物価」と「貨幣の回転速度」の上昇に見舞われるのである。

そのために、今回は、「戦後の日本で、どのような展開が繰り広げられたのか」を、具体的に検討したみたいと思うが、実際には、「1945年からの約20年間」が、「目に見える税金」が課されていた時期だったことも見て取れるのである。そして、その後に、「国債の発行」が始まり、この時期には、「目に見える将来の税金」が、「現在の税金」と同様に課され始めた状況だったことが理解できるものの、問題は、「1997年前後の世界的な信用収縮」以降に大膨張した「デリバティブの存在」ともいえるのである。

つまり、「デリバティブ」に関しては、「民間金融機関が、オフバランス(簿外)で膨張させた資産と負債」であり、また、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)までは、デリバティブの残高が膨張し続けていた」という状況のために、「どのような税金が、主に課されていたのか?」という観点からは、「目に見える将来の税金が課され続けていた状態」だったことも理解できるのである。

ただし、その後は、「中央銀行のバランスシート大膨張」という「リフレーション政策の時期」に移行し、現在では、「最後の段階」である「国民が気付くインフレ税が課され始める時期」に移行し始めたものと思われために、今後の注目点は、やはり、「貴金属や原油、そして、食料品などの価格変化」ともいえるようである。