本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.5.17

現代人のフロンティアスピリット

現在の「世界的な金融混乱やインフレ」に関しては、根底に存在する「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」が解消された時に終焉するものと考えている。そして、この点における重要なポイントとしては、「大膨張した現代のマネー」に関して、「どのようなメカニズムで膨張したのか?」、あるいは、「現代人のフロンティアスピリットが、どのような役割を果たしたのか?」を理解することだとも感じている。

つまり、「時間の経過とともに、どのような空間や社会が形成されていくのか?」については、基本的に、「人類全体の意識と行動」の分析が必要であり、また、この時に、私自身の「心の座標軸」が有効な状況のようにも思われるのである。具体的には、「村山節の文明法則史学」が指摘する「東西文明の交代」に関して、「目に見えるものと見えないものを交互に求める人々の意識」や「自分と他人との間を交錯する人々の行動」のことである。

より詳しく申し上げると、「西暦1600年から2000年」は、「目に見えるもの」を求める「人々の意識」の後半期に相当するとともに、「人々の行動」に関しては、「自分のことだけ」に専念する状況だったことも理解できるのである。その結果として、シュペングラーが指摘する「大都市の知性と貨幣」、すなわち、「大都市に埋もれた人々が社会の部品となり、疎外感を抱く状況」などが産み出されたものと考えられるのである。

そして、今後の注目点としては。「現代人が、現在、何を求めているのか?」という「人類の開拓者精神」の理解であり、実際には、シュペングラーが指摘する「生命力」などが挙げられるものと感じている。つまり、「知性」の反対の場所に位置する「生命」や「魂」、あるいは、「精神」を求め始めている状況のことであり、このことにより、現在の「マラソンブーム」などが説明可能な状況のようにも思われるのである。

より具体的には、「自分の身体を駆使することにより、本来の生命力を取り戻そうとする努力」のことでもあるが、この点に、すでに始まった「目に見えないものを求める意識」と「他人のために行動し始める人々の存在」を加えると、今後は、「1600年前」と同様に、「既存の常識が通用しない社会」に変化する可能性も想定されるようである。つまり、「神様的な存在だったマネーの消滅」により、「新たな神」や「新たな安全」などを求め始める展開のことでもあるが、実際には、「信用できる人々一緒に、小さな共同体を形成する動き」が世界的に広がる可能性のことであり、この結果として、「西洋における暗黒の中世」と「東洋における黄金の中世」が形作られた状況のようにも感じている。