本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.5.18

ロシアの軍事敗戦と米中の金融敗戦

現在の世界情勢、すなわち、「ロシアの軍事敗戦」や「米中の金融敗戦」の可能性に関しては、「明治維新以降の日本」が参考になるものと感じているが、実際には、「開国派と攘夷派が争った結果として、徳川幕府が崩壊した状況」であり、また、その後、「77年周期で、軍事敗戦と金融敗戦が発生する可能性」のことである。別の言葉では、「米中の対立」の結果として、間もなく、「西洋の物質文明」が崩壊する可能性のことでもあるが、この点については、「村山節の文明法則史学」が指摘するとおりの展開とも言えるようである。

そして、この時に、大きな役割を果たしたのが、「マネーの大膨張」や「帝国主義的な行動」でもあったが、実際には、「1945年の終戦」により、西洋諸国は、「軍事的な奪い合い」から「資金的な奪い合い」へと変化を遂げた状況とも言えるのである。しかし、一方で、かつての共産諸国は、「マネーの大膨張」や「経済的繁栄」の恩恵を受けた結果として、「軍事的な奪い合い」へと向かった状況のようにも感じている。

より具体的には、「共産主義」という名の「国家資本主義」とでも呼ぶべき状態で、「軍事的な独裁者が、アメリカの地位を奪い取ろうとしている状況」のことでもあるが、この結果として発生している事態は、「信用やマネーの消滅」であり、また、「グローバル共同体の崩壊」とも言えるのである。つまり、「1600年前の西ローマ帝国」と似たような展開が、現在、世界的な規模で発生するとともに、「資本主義国の共産主義化」や、あるいは、反対に、「共産主義国の資本主義化」が発生している状況のようにも感じられるのである。

より詳しく申し上げると、「西洋の先進諸国は、現在、資金のバラマキにより、かつての共産主義や社会主義的な政策を実施している状況」となっており、反対に、「かつての共産諸国は、金(ゴールド)の保有を増やすことにより、根本的な資本の増強を図っている状況」となっているのである。つまり、「どちらの陣営も、相手側の長所や短所を取り入れている状況」とも思われるが、この点については、前述のとおりに、「明治維新の日本」の繰り返しのような状況のようにも感じている。

具体的には、「官軍」と「賊軍」が「錦の御旗」を奪い合っている間に、もともとの基盤だった「徳川幕府」が消滅した展開のことであり、このことを、今回の世界情勢に当てはめると、「領土や資金の奪い合いが加速した結果として、根本の資金が消滅する可能性」が指摘できるとともに、今後は、「人類が、地位や名誉、そして、お金などの人爵ではなく、精神的な成長という天爵を求め始める時代の始まり」を表しているものと感じている。