本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.5.6

米国のFednow

7月からスタートする「FRBの即時決済システム」、通称「Fednow」には、大きな注意が必要だと感じているが、その理由としては、「実質上の紙幣増刷」となる可能性が指摘できるからである。そして、この点を理解するためには、「過去数十年間の世界的な金融情勢」、そして、「現在の米国の資金繰り」などを分析する必要性があり、具体的には、「全ての金融主体が資金難に陥っている可能性」の検証である。

より詳しく申し上げると、「FRBのQTと連続利上げ」がもたらしたものは、「民間部門のバランスシート不況」であり、実際には、「資産価格の急落による不良債権の急増」とも言えるのである。その結果として、現在、「1929年型の大恐慌」、すなわち、「金融引き締めによる金融機関の連鎖倒産」を引き起こす可能性が高まってきたために、今度は、反対に、「1923年のドイツのような大インフレ」を目論んだ状況とも考えられるのである。

別の言葉では、「紙幣の増刷」により「市場への大量資金供給」が実施される可能性のことでもあるが、この時の問題点は、以前から指摘しているように、「金融界の白血病」、すなわち、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない状況」とも言えるのである。つまり、現在は、「デジタル通貨の全盛期」であり、その結果として、「世界的な決済が、ほぼ瞬間的に実施可能な状況」でもあるが、一方で、「弊害」としては、「預金の引き出しが、きわめて短期間に実施される状況」も指摘され始めているのである。

そのために、「FRB」としては、現在、「資金難に陥った米国の民間金融機関」に対して、「Fednowを通じた、大量のデジタル通貨の資金供給」を目論んでいる可能性も想定されるのである。つまり、これから予想される「OTCデリバティブがもたらす巨額損失」に関して、「FRBによる資金供給」が考えられる状況でもあるが、この時の問題点としては、やはり、「国民の換物運動が始まる可能性」も指摘できるのである。

具体的には、「貨幣価値の急減」」を危惧した国民が、一斉に、「実物資産を購入し始める可能性」であり、この時には、「終戦直後の日本人」のように、「持っている資金を、即座に、実物資産へ転換する動き」が高まるものと想定されるのである。つまり、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」と「紙幣」との経済的効果については、実質上、ほとんど違いがない状況が想定されるとともに、この時、最も大きな影響力を持つのは、やはり、「国民の政府や通貨に対する信用」であり、現在、この数値は、ほとんど「ゼロ」に近づいている状態とも思われるのである。