本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.5.1

ランダムウォーク理論の問題点

今年で「47年目」を迎える「私自身の実践投資」について、過去を振り返ると、最も大きな妨げの一つとなったのは、やはり、「ランダムウォーク理論」だったようにも感じている。つまり、「今日の株価」から「明日の株価」への推移としては、いわゆる「正規分布」が想定されるというものだが、実際には、「シュペングラー」が指摘する「成ること」と「成ったこと」の違いの方が、現状を、よく説明しているものと思われるのである。

別の言葉では、「成ること」というのは、「明日の株価」に関する可能性であり、実際には、「ランダムウォーク理論」が指摘するとおりに、「小数点を含めると、無限の可能性が存在する状況」とも言えるのである。しかし、一方で、「成ったこと」、すなわち、「明日に達成された株価」というのは、当然のことながら「一つ」だけであり、また、「その他の全ての可能性が排除された状況」だったことも理解できるのである。

そして、このことが、私が考える「三次元と四次元との違い」のようにも感じているが、実際のところ、「三次元の世界」では、「理屈と膏薬はどこにでも付く」という言葉のとおりに、「どのような意見でも述べることが可能な状況」となっているのである。しかし、一方で、「四次元の世界」の厳しさとしては、「時が全てを証明する」という言葉のとおりに、「結果が一つしか存在しない状況」であることも見て取れるのである。

このように、「投資の実践」においては、「決して、油断せずに、常に真理を追い求める努力」が必要とされているものと考えているが、特に、今回のような「歴史的な大転換期」においては、より一層、この態度が求められているものと感じている。つまり、「米国の株式と金利」のように、「約40年間も、同じトレンドが形成されてきた状況」については、決して、「ランダムウォーク理論」で説明が可能な状況ではなく、反対に、「どのようなメカニズムが存在していたのか?」を解明する必要性があるものと考えられるのである。

別の言葉では、「歴史の全体像」に関して、「文明法則史学」が教えるとおりに、「1600年前まで、時代を遡りながら、今後、どのような展開が予想されるのか?」を考えることである。つまり、「シュペングラーの西洋の没落」や「村山節の文明法則史学」で指摘されているとおりに、「当時のローマ法が無視されるような状況」が発生する可能性であり、また、「貨幣の崩壊」により「民族の大移動」が発生する可能性でもあるが、現在の「世界的な金融混乱」を見ると、まさに、「誰もが予想しない規模の大混乱」が発生する可能性が高まっている状況のようにも感じている。