本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.4.27

人口減と生産性

現在、日本で問題となっているのは、「人口減による国力の縮小」であり、また、そのために必要なことは、「生産性の向上」と理解されているようだが、実際には、全くの「時代錯誤的な意見」とも言えるようである。つまり、現在は、「西洋の物質文明」から「東洋の精神文明」への大転換期、すなわち、「社会全体の価値観が劇的に変化するパラダイムシフトの時期」に差し掛かっているものと考えられるからである。

そして、「生産性」の概念、すなわち、「一人の人間が、どれほどの産物や利益を産み出すことができるのか?」という認識についても、実際には、根本的な過ちが存在するものと感じている。具体的には、「20世紀の世界」が経験した「一次産業から二次産業、そして、三次産業から金融商品への変遷」のことであり、この時に重要なポイントは、「生産物」と「貨幣」が、大きく変化した事実とも言えるのである。

別の言葉では、「100年以上の歴史を持つ中央銀行が、マネーの膨張に関して、重大な役割を果たした事実」のことでもあるが、過去100年余りの期間は、「新たな『商品』の発明により、結果として、『銀行預金』や『市場による信用供与』などのマネー供与が可能な状況」だったのである。つまり、「フロー」である「実体経済」の成長に伴い、「ストック」である「マネー」の残高が急増したわけだが、この時の注意点は、「デリバティブ(金融派生商品)が創り出したデジタル通貨の存在」とも理解できるのである。

より詳しく申し上げると、現在の「世界的なインフレ」の真因としては、「金融界のホーキング放射」、すなわち、「金融のブラックホールで創られた巨額のデジタル通貨が、限られた実物資産へ入り始めた状況」が指摘できるのである。つまり、現在は、100年ほど前にシュペングラーが指摘した「貨幣の敗北、あるいは、崩壊の時代」に入っており、そのために、今後は、「生産性の概念」そのものが、役に立たなくなる時代が訪れるものと考えられるのである。

そして、これから予想される展開としては、「地位や名誉、そして、お金」などの「人爵」ではなく、「精神的な成長、そして、心の安定」などを求める時代であり、この時に役立つのが、現在の「11次元にまで進化した自然科学」とも考えられるのである。具体的には、「お金の謎」や「時間のサイクル」、そして、「心の謎」などが解明されることにより、「社会科学そのものが、四次元、あるいは、五次元の段階にまで発展する状況」であり、また、「技術の進化により、お金そのものが不要になる可能性」である。