本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.4.25

二種類のデジタル通貨

記録的なハイパーインフレに悩まされた「ジンバブエ」は、現在、「金を裏付けにしたデジタル通貨の発行」を計画中であると報道されているが、この方法については、「中国などが目論んでいる人民元のデジタル通貨」と同様の仕組みとも言えるようである。しかし、一方で、「BIS(国際決済銀行)」を中心にして、西洋諸国が考えている「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」に関しては、現在の通貨制度と同様に、「何の裏付けのない通貨」となる可能性が高まっているものと感じている。

このように、現在では、「二種類のデジタル通貨」が議論されているものと思われるが、この時に必要とされることは、「お金(マネー)の根本」を理解することであり、また、「お金(マネー)の価値と形態が、どのような歴史を辿ってきたのか?」を認識することである。つまり、約5000年前に発明されたと言われる「お金(マネー)」については、その後、さまざまな紆余曲折を辿って来たわけだが、基本的には、「1971年のニクソンショック」までは、「金(ゴールド)そのものが、お金(マネー)である状況」か、あるいは、「金を本位とした通貨制度」だったことも見て取れるのである。

しかし、現在では、「信用や錯覚だけを本位とした、信用本位制と呼ぶべき通貨制度」が、世界的に広がった結果として、「ゼロ金利やマイナス金利などが発生する、きわめて異常な金融情勢が、世界的に形成された状況」だったことも理解できるのである。別の言葉では、「唯物論を追い求める西洋文明」の末期状態として、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様に、「パンとサーカスの生活」や「巨額な財政赤字がもたらすインフレ」などが、世界的に発生したものと考えられるのである。

そのために、これから必要なことは、「お金(マネー)の量は、共同体の規模により決定される」という事実を理解しながら、現在の「東西冷戦状態」を認識すべき状況とも想定されるのである。つまり、いまだに存在する「史上最大のバブル」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」に関しては、「中国やロシアなどの旧共産圏諸国の市場参加が作り出した産物」とも言えるために、現在では、すでに、「存続基盤が失われた状況」となっているものと考えられるのである。

より具体的には、間もなく、発表が想定されている「さまざまなCBDC」に関して、「世界中の人々が、どのように理解し、かつ、どのような反応を見せるのか?」を、冷徹な目で観察する必要性があるものと感じている次第である。