本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.3.13

シリコンバレー銀行の破綻

3月10日に発生した「シリコンバレー銀行の破綻」に関しては、典型的な「金融機関のパンケーキクラッシュ」、すなわち、「債券価格の暴落」や「資産価格の急落」が引き起こす「資金的な行き詰まりの状況」を表しているものと感じている。別の言葉では、「時間のサイクル」のとおりに、現在では、すでに、「目に見えない金融ツインタワーの崩壊」が始まったものと思われるが、実際には、今までのような「問題の先送り」が難しくなった状況を意味しているものと考えられるのである。

より詳しく申し上げると、今回の「破綻」は、これから予想される「金融機関の連鎖破綻」の始まりを意味するとともに、今後は、「戦後の26年サイクル」が表わすとおりに、「今年の8月15日にかけて、現在の信用本位制と呼ぶべき通貨制度が崩壊する可能性」を表しているものと考えている。つまり、現在のような「約600兆ドルものOTCデリバティブ」、そして、「約330兆ドルもの世界的な債務残高」については、「一朝一夕で構築されるような状況」ではなく、実際には、「西暦400年前後の西ローマ帝国崩壊」にまで、その起源を辿る必要があるものと思われるのである。

しかも、今回は、「19世紀から始まった産業革命」、そして、「20世紀に発生した人口の大爆発」、あるいは、「中央銀行主導のマネー創造」などにより、結果として、「世界的なマネーの残高が、きわめて異常な大膨張を見せた状況」とも言えるのである。より具体的には、「1971年のニクソンショック」をキッカケにして、「デリバティブやデジタル通貨の残高が、人類史上、きわめて異例なスピードで積み上がっていった展開」のことである。

そのために、今後は、「金融機関のカウンターパーティーリスク」、すなわち、「一社の破綻が、その後、連鎖的な破たんに繋がる可能性」が危惧される状況でもあるが、残念ながら、現在の日本では、「デリバティブの存在」のみならず、「日銀や日本国家の破たん懸念」までもが、ほとんど議論されていない状況とも言えるのである。

つまり、「臭いものや怖いものには蓋をして、実情を見ようとしない態度」が取られていたわけだが、実際には、「時間とともに、必ず、真理や真実が現れる」ということが、「相場」のみならず、「人生」などにおける真実とも言えるのである。別の言葉では、「三次元の経済学」のように「理屈と膏薬はどこにでも付く」というような態度に終始していると、結局は、「日本の失われた30年」のような結果のみならず、「資産そのものの急激な損失」に繋がる可能性のことである。