本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.3.8

民族の大移動

現在は、1600年前の「西ローマ帝国の崩壊時」と酷似している状況であり、この点に関して注目すべき現象は、「西暦375年」から始まったと言われる「ゲルマン民族の大移動」だと考えている。つまり、「移動の前半部分」では、「1600年後の日本」などからも明らかなように、「都市への人口移動」が顕著となったものの、その後、後半部分では、「大都市に住めなくなった人々が、地方への移住を始めた」という状況だったのである。

また、民族大移動の期間については、「西暦300年代から700年代」という意見もあるために、この点に注意しながら、今後の展開を見ていきたいと考えているが、現時点で注目すべき事実は、やはり、「シュペングラーが100年ほど前に予言した、2000万人を超えるほどの大都市が、世界各地に誕生した現象」とも言えるようである。つまり、現在は、「民族大移動」の「前半部分」が終了するとともに、「後半部分」が始まったばかりの段階のようにも思われるのである。

そして、この要因としては、「村山節の文明法則史学」が指摘する「東西文明の交代」や「聖書」が指摘する「神と冨とに、同時に仕えることができない人間の宿命」などが指摘できるものと感じている。あるいは、「人知」が及ばない「天の計らい」が存在する可能性も考えられるようだが、この点については、今後、「後世に生きる人々」が、詳しく検証してくれるものと考えている。

このように、現在は、いろいろな観点から、「1600年に一度の大転換期」に遭遇しているものと思われるが、今後の注目点としては、やはり、「大膨張した世界のマネーが、今後、どのような運命を辿るのか?」、あるいは、「1600年前と同様に巨大な建築物で充満した大都市が、今後、どのような変化を見せるのか?」ということだと感じている。つまり、「大都市に住みづらくなる要因」としては、「マネーの消滅がもたらす費用の増大」などが挙げられるものと思われるのである。

より詳しく申し上げると、「未曽有の規模にまで拡大したデジタル通貨が、今後、どのような運命を辿るのか?」ということでもあるが、この点については、今後、「金融界の白血病」、すなわち、「紙幣が、コンピューターネットワークの中を流れることができない事実」が気に掛る状況である。あるいは、「民族間の紛争」が激化することにより、「信用」が完全消滅し、現在の「信用だけを本位とした通貨制度」が、根本から崩壊する可能性も、きわめて高くなっているようにも感じている次第である。