本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.3.15

2008年と2023年の違い

3月に発生した「銀行の連鎖破綻」に関して、現在、多くの人々は、「2008年の再来」を想定しているようだが、実際には、全く違った状況だと考えている。つまり、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」は、それまでの「デリバティブの急激な成長」が止まったことにより発生した大混乱であるとともに、「目に見えない金融タワー」において、「デリバティブの一本だけがそびえたっていた状況」とも言えるのである。

そして、その後の展開としては、「量的緩和という名目のリフレーション政策」により、「もう一本の目に見えない金融タワー」である「世界的な債務残バブル」が積み上げられていったことも見て取れるのである。つまり、「デリバティブのバブル崩壊」を隠蔽するために、「先進各国の中央銀行が、こぞって、量的緩和(QE)と呼ばれる金融政策を実施した展開」のことである。

より詳しく申し上げると、「デリバティブの大膨張」により発生した「大量のデジタル通貨」を利用して、「世界の金融市場がコントロールされた状況」のことでもあるが、その結果として発生したのが、いわゆる「金融のメルトダウン」だったことも理解できるのである。つまり、「何でもバブル」と呼ぶべき状態が発生したわけだが、この時の問題点は、「金融のメルトダウン」が、「デジタル通貨が作り出した仮想現実的な世界から、実物資産にまで浸透し始めた事態」とも言えるのである。

別の言葉では、「インフレ指数に含まれている商品」にまで、「何でもバブル」が到達し始めたために「世界的なインフレ」が発生し、その結果として、「先進各国が、慌てて、金利を上げ始めた状況」のことである。つまり、現在では、「約600兆ドルのデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」という「目に見えない金融ツインタワー」が存在するとともに、「2001年の9・11事件」の時のように、「二機のジェットが、すでに突入したような状況」となっているのである。

しかも、現在は、「金融ツインタワーの崩壊」が「世界の債務」の方から始まった状況であり、今後は、「デリバティブ」に関しても、同様の展開が想定されるのである。つまり、「G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行群)」においても、「パンケーキクラッシュ」が発生する可能性が危惧されるわけだが、今回は、「2008年」とは違い、「先進各国が、最後の手段である『紙幣の増刷』を行うか、それとも、何もせずに『大恐慌的な破たん』を待つのか?」の選択を強いられている段階とも想定されるのである。