本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.1.11

大恐慌とハイパーインフレ

現在、海外では、「債券バブルの崩壊」に対して、人々の注目が集まるとともに、「これからどのような展開が予想されるのか?」について、いろいろな議論が出始めている状況でもあるが、実際には、「1929年の大恐慌型の混乱か、それとも、1923年のドイツ型のハイパーインフレか?」などである。また、「これから未曽有の規模での金融大混乱が発生する」という点には、多くの人が理解を深めているものの、一方で、「どのような商品に投資すべきか?」には、いまだに悩んでいる状況とも言えるようである。

別の言葉では、「ジェットコースターのように乱高下する金融市場」を見て、多くの投資家が、「何が、本当に安全な資産なのか?」を真剣に考え始めるとともに、「過去に、どのような大事件や混乱が発生したのか?」を調べ始めた状況のようにも感じられるのである。つまり、私自身が、「1987年のブラックマンデーに衝撃を受け、その後、歴史を遡り、さまざまな事件を研究した状況」が、再度、多くの人々で繰り返されている状況のことである。

そのために、今回は、再度、「大恐慌の原因」や「過去のハイパーインフレの実情」について簡単に説明させていただくが、基本的には、「大恐慌と呼ばれる事件は、1929年のアメリカだけに特有のものだった」という事実を理解する必要性があるものと考えている。つまり、「19世紀のイギリスで発生した恐慌」は、単なる景気変動がもたらしたものだが、「1929年のアメリカの大恐慌」については、「誤って金融引き締めを実行し、その結果として、民間銀行の連鎖倒産に繋がった」という状況だったのである。

別の言葉では、「国家の財政」には問題がなかったものの、「1923年のハイパーインフレが再来する可能性」に怯えた金融当局者が、急速な金融引き締めを実施した結果としての大事件だったのである。しかし、一方で、「過去100年間に30か国以上で発生したハイパーインフレ」に関しては、「国家の財政破綻」により「国家が発行する通貨への信用喪失」が根本的な原因だったことも見て取れるのである。

そして、これから予想される展開としては、「先進各国の政府と中央銀行が、どのような金融政策を実施するのか?」に掛っているとも言えるのだが、実際には、今までと同様に、「取れる手段は、必ず、実行する」という展開が予想されるものと考えているために、今後は、「紙幣の大増刷」が実施されることにより、「大恐慌ではなく、ハイパーインフレを選択する可能性」が高まっているものと考えている。