本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.1.14

通貨制度の寿命

現在の「世界的な金融混乱」の根本的な原因としては、基本的に、「通貨制度の寿命」が挙げられるものと思われるが、実際には、「ケインズ」が指摘する「通貨制度の寿命は約50年」という歴史的な真理のことである。つまり、「1971年のニクソンショック」をキッカケにしてから始まった「現在の信用本位制と呼ぶべき通貨制度」については、すでに、「通貨制度の寿命」を迎えているものと考えられるのである。

別の言葉では、「20世紀の初頭」から始まった「実体経済の急劇な成長」に伴い、それまでの「金本位制」についても、徐々に、変化を遂げてきた状況だったが、実際には、「金貨本位制」から「金地金本位制」、そして、「金為替本位制」へと、「通貨に対する金の役割」が減少していったことも見て取れるのである。つまり、「金(ゴールド)は、過去の野蛮な遺物である」というケインズの指摘のとおりに、「1971年以降、通貨に対する金(ゴールド)の役割が、完全に失われた状況」となったのである。

より詳しく申し上げると、5000年前に発明された「通貨(お金)」については、基本的に、「金(ゴールド)が、常に、お金だった」という状況だったが、「約800年間にわたり継続した西洋の物質文明」の末期では、「通貨の本位(根本)が、単なる信用や錯覚に変化した状況」となったのである。つまり、現在では、「5000年におよぶ通貨の歴史よりも、50年間の現実の方が重んじられた状態」となっており、実際のところ、「単なる数字が、命よりも大切なお金である」と認識される状況となっているのである。

そして、この事実を象徴するのが、「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」だと考えているが、現在では、ご存じのとおりに、「世界的な金利上昇により、金融ツインタワーの崩壊が始まった状況」とも言えるのである。別の言葉では、「お金が神様となった時代」の終焉とも言えるが、実際のところ、今までは、世界中の人々が、「お金さえあれば何でもできる」と錯覚した状態だったのである。

このように、「歴史の醍醐味」として言えることは、「現在が、1600年前の西ローマ帝国と同様に、現在、マネーのバブルが弾けるとともに、新たな時代への移行が始まる状況」であり、また、今後の展開としては、「文明法則史学が指摘する800年ごとの東西文明の交代」でしか説明がつかないものと思われるが、この時に必要なことは、「11次元にまで進化した自然科学」を「3次元の社会科学」に応用することだとも感じている。