本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.11.4

綱渡り状態の米国金融政策

米連邦準備理事会(FRB)は、11月2日に、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、再度、0.75%ポイント引き上げ、3.75─4.00%としたが、実情としては、「歯切れの悪いパウエル議長コメント」に象徴されるように、「綱渡り状態が継続している状況」とも言えるようである。具体的には、表面上の「量的引き締め(QT)」を実施しながら、その裏側で、「金利を上げるとともに、メガバンクのデリバティブ残高を増やしている状況」のことである。

より詳しく申し上げると、「2008年のリーマンショック」以降、米国が目論んできたことは、「中央銀行のバランスシート残高を増やすことにより、デリバティブのバブルを解消すること」だと考えている。つまり、「国債の大量買い付けにより、超低金利状態を維持しながら、ソフトランディングの状況でデリバティブのバブルを崩壊させる可能性」のことである。

しかし、実際には、「デリバティブの残高減少」が順調に進展しない状況下で、「中央銀行のバランスシート膨張」に限界点が訪れ、その結果として、「金利の引き上げ」を実施せざるを得なくなったものと思われるのである。別の言葉では、「金融界のブラックホール」に隔離されていた「デジタル通貨」が、徐々に、「仮想現実から現実世界への移行」を始めたことにより、世界的なインフレの加速が顕著になった状況のことである。

つまり、「人類史上、未曽有の規模で、マネーの大膨張が発生した事実」に関して、小手先の方法では隠し切れなくなったために、「金利の引き上げ」という手法を取らざるを得なかったものと想定されるのである。そして、この結果として予想される展開は、「中央銀行の赤字決算」であり、また、「中央銀行の債務超過を避けるために実施される無制限の資本注入」とも思われるのである。

そのために、これらの事情を熟知している「米国の金融当局者」は、過去数か月間、「メガバンクが保有するデリバティブ」を、再度、膨張させることにより、「中央銀行の資金繰り」を補完した状況のようにも感じられるのである。しかし、この時の必要条件としては、「米国に資金が集まるためのドル高」とも想定されるが、実際には、「米国以外の国々が、ドル高の悪影響を受け始めた状況」となっており、そのために、間もなく、「デリバティブの完全崩壊」を意味する「メガバンクの破たん」などが、発生する可能性が高くなっている状況のようにも感じている。