本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.9.7

214兆円のマージンコール

欧州の信用不安に関して、現在、「1.5兆ドル(約214兆円)のマージンコール(追証)」という、新たな問題が発生しているが、この理由としては、「価格下落のリスクを回避しようとした欧州のエネルギー企業が、先物の売りを実施した事実」が挙げられている。つまり、今回の問題は、私が提唱する「金融界のホーキング現象」、すなわち、「金融界のブラックホールに潜んでいたデジタル通貨が、実物資産に流れ出した結果として、商品価格の急騰を発生させる現象」の結果とも想定されるのである。

別の言葉では、過去10年余りの、「デリバティブの崩壊を隠蔽するために、国民の預金などを利用して、金融抑圧や市場価格のコントロールなどが実施されてきた状況」が、限界点に達したものと考えられるのである。つまり、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻」などをキッカケとして、「仮想現実の世界に存在したデジタル通貨が、実体経済の実物資産に流れ込み始めた状況」となり、その結果として、「予想外のエネルギー価格の上昇」が発生したものと理解できるのである。

そして、今回の事件は、いまだに「約500兆ドル(約7.1京円)」もの想定元本が存在する「OTCの金利デリバティブ」に関して、「バブル崩壊の予兆的な事件」のようにも感じている。つまり、これから、本格的な「金融大混乱」が、世界的に発生する可能性を示唆した出来事のようにも思われるが、実際には、すでに世界を襲っている「インフレの大津波」に関して、「第三波の到来」を意味するものと考えている。

より詳しく申し上げると、「実体経済の約10倍の規模」にまで大膨張した、現在の「世界的なマネー経済」については、今後、「インフレの大津波により、あっという間に解消され、雲散霧消する展開」を想定しているが、この点に関して、驚かされる事実は、やはり、「ほとんどの人が、この点を理解していない状況」とも言えるのである。別の言葉では、多くの人々が、「マイナス金利という歴史的な異常事態」や「異常気象による大規模な自然災害」が発生しようとも、「明日は今日の延長であり、決して、大きな変化は発生しない」というような認識を持ち続けてきた状況のことである。

そして、結果としては、「人類の存在」そのものが、危機的な状態に陥ったものと考えているが、このような「人類の闇」と呼べるような状況は、まさに、「ロシア」という「プーチンが指摘する日出づる国」に象徴されるとともに、今後、「闇から光への大転換」が、この国から始まる状況を表わしているようにも感じている。