本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2022.5.15

ゼロコロナ政策の問題点

3年目を迎えた「世界的なコロナ・ショック」は、現在、大きな転換期を迎えているものと思われるが、この理由としては、先進各国の多くが、いわゆる「ウイズコロナ政策」を実施し始めたために、間もなく、「集団免疫」が獲得されるものと思われるからである。つまり、「ワクチンの普及」と「実際の感染」の合計数が増えることにより、今回の「コロナウイルス」が、通常のインフルエンザのような状態になる可能性のことである。

ところが、この点に関する問題点は、ご存じのとおりに、「中国のゼロコロナ政策」であり、この理由としては、「14億の人民のほとんどが、いまだに、免疫を獲得していない状況」が指摘できるものと考えている。つまり、「ウイルスからの避難」という、当初、成功した方法を固持しているために、「今後、どのような方法で免疫を獲得するのか?」が、きわめて曖昧な状況となっているのである。

より具体的には、「このまま、ロックダウンの状態を維持するのか?」、それとも、「西側諸国と同様に、ウイズコロナ政策に変更するのか?」ということだが、この点に関する問題は、やはり、「習近平氏による独裁国家体制」だと感じている。つまり、現在の「ロシア」と同様に、「中国国民」は、「自由な行動が制限されるとともに、政府に対して逆らえないような状況」となっているのである。

別の言葉では、今後の世界情勢は、かつての「東西冷戦体制」が復活したような状態になるものと思われるが、このような状況下で予想される展開は、「ウイズコロナの西側諸国で、活発な経済活動が繰り広げられる可能性」であり、また、「ロシアや中国などの国々で、人民の不満が高まる可能性」とも想定されるのである。つまり、「権力の暴走」に対して、「国民の反発が高まる状況」のことであり、しかも、この時の注意点は、「目に見える暴走」だけではなく、「目に見えない暴走」だと考えている。

具体的には、「新型インフル」から「新型インフレ」への変化のことでもあるが、今までは、「コロナ・ショックによる実体経済への収縮効果」が大きかったものの、今後は、「デリバティブのバブル崩壊」、すなわち、「資金面における権力の暴走」が限界点に達した結果として、「新たなタイプのインフレ」が発生するものと思われるのである。つまり、「マネー経済の実質的な収縮効果」のことでもあるが、この時に発生する現象は、古典的なパターンである「紙幣の増刷による、実質的な通貨価値の激減」であり、また、「国家と国民との力関係の変化」だと考えている。