本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.3.14

平気で嘘を付く人々

最近、気にかかる点は、今回の「プーチン大統領」を筆頭にして、「世界各国で、政治家や官僚などが、平気で嘘を付き続けている事実」であり、また、「嘘の隠ぺいのために、権力を行使する状況」である。そして、このことは、「東洋学における歴史サイクル」が教える「崩壊から創業への大転換」を意味しているものと思われるが、具体的には、「秩序の形成」から始まる「創業の時代」が、その後、「保守化の時代」から「因循姑息(事なかれ主義)の時代」へ移行し、最後の段階で、「秩序の崩壊」が始まる過程のことである。

ただし、この時に注目すべき点は、「崩壊の中に、創業の芽が含まれている状況」であり、実際には、「陳腐化した既存の秩序」に飽き足らない人々が、「異端的な事業を始める状況」などのことである。別の言葉では、「既存の秩序を守ろうとする人々が、平気で嘘を付き、また、権力の行使に訴える状況」を見た人々が、「自分の良心に目覚める過程」とも言えるようである。

しかも、今回は、「文明法則史学が教える800年サイクル」とも合致しているために、これからの大混乱については、未曽有の規模になるものと考えているが、このような状況で必要なことは、「お金の基となる人々の信用が、どのようにして産み出されるのか?」を理解することだと感じている。別の言葉では、「嘘を付くことによって、どれほどの信用崩壊が発生しているのか?」を理解することであり、また、「マネーの歴史」が教えるように、「現代の通貨制度が、どれほど特殊なものであるか?」を認識することである。

そのために、現時点で必要なことは、「現在と似た状況にあった1600年前に、どのようなことが起こったのか?」を理解することだと感じているが、実際には、「軍事力を誇示した西ローマ帝国が、資金力の崩壊、すなわち、通貨の堕落によって崩壊した事実」とも言えるのである。つまり、「マネーの大膨張」が頂点を迎えた「西暦400年頃」に、「蛮族の攻撃」が始まり、「西ローマ帝国が、ほぼ瞬間的に滅んだ」という状況だったわけだが、この時の注目点は、「その後の東ローマ帝国の性質が、全く違ったものとなった事実」だと考えている。

具体的には、「物質文明」から「精神文明」への大転換のことだが、今回の注目点は、やはり、「マクロの物理学」という「物質文明」から、「ミクロの物理学」という「精神文明的な理論」が模索され始めた事実であり、また、「経済学を中心とした社会科学が、今後、どれほどの次元上昇を達成できるのか?」だと考えている。