本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.3.10

米国の中央銀行デジタル通貨

「バイデン米大統領は、3月9日に、『デジタルドル』の研究を連邦政府に指示する大統領令に署名した」と報道されたが、この理由としては、やはり、「中央銀行の資金繰り」に関して、大きな問題が発生する可能性が指摘できるようである。つまり、現在の「金融システム」は、「100年ほど前に設立された世界各国の中央銀行」を中心にして、「部分準備銀行制度」が採用されており、現時点では、「中央銀行のバランスシートを、今後、どのようにして増やすのか?」に関して、大きな問題が発生し始めているのである。

具体的には、今まで、「量的緩和(QE)」の名のもとに、「ありとあらゆるところから資金を借り入れて、国債の買い付けを行い、超低金利状態の維持に努めてきた状況」だったが、現在では、「最後の手段である紙幣の増刷に訴えざるを得ない状態」にまで追い詰められているのである。つまり、「過去の歴史」が指摘するとおりに、「中央銀行は、最後の段階で、資金繰りを賄うために、大量の紙幣増刷を実施する」という展開のことだが、この時の問題点は、現在の「世界的な資金移動」が、「SWIFT」の仕組みからも明らかなように、「数字に関する情報が流れていただけの状況」である事実とも言えるのである。

別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制とも言える通貨制度」に関して、根幹を揺るがす事態が発生しかかっており、そのために、現在では、「紙幣の代わりに、中央銀行のデジタル通貨(CDBC)は発行可能なのか?」ということが議論されているものと想定されるのである。そして、この点については、「無制限の資金供給を、どのようにして実施するのか?」ということが、最も重要なポイントであり、この時の注目点は、「紙幣であろうが、デジタルドルであろうが、結果に違いがない事実」とも考えられるのである。

より具体的に申し上げると、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻」が「軍事力による現状変更」と言われているように、「中央銀行による無制限の資金供給」については、「資金力による現状変更」とも考えられるからである。つまり、今回の「デジタル通貨」については、「国家の債務などを、デジタル通貨によって棒引きにする思惑」とも言えるようだが、この方法については、「既存の金融システムを、瞬間的に崩壊させる効果」が存在するものと想定されるのである。別の言葉では、「金利」で機能している「預金」や「債券」、そして、前述の「部分準備銀行制度」が完全に崩壊する可能性のことでもあるが、現時点で危惧されることは、やはり、「デリバティブの時限爆弾破裂」などのように、「金融システムに関する大事件の発生」とも言えるようである。