本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2022.2.16

金融界のブラックホール

金融業に携わって、今年で46年目を迎えるが、この期間を振り返りながら、現在の「金利上昇」を考えた時、痛切に感じることは、「金融界のブラックホールが形成され、そして、蒸発している展開」のことである。つまり、この間において、私自身が最も注目したのは、「金融界の大量破壊兵器」と言われた「デリバティブ(金融派生商品)」であり、実際のところ、「金融のシステム」や「マネーの大膨張」を研究する上で、「デリバティブが、どのようにして成長していったのか?」は、決して、避けて通れない大問題だったのである。

しかも、過去20年あまりの期間は、「人類史上、稀に見るほどの世界的な超低金利状態」が形成された状況でもあったが、この事実を、現在の「量子力学」などが教える「ブラックホールの形成と蒸発」に当てはめると、「ぴったり当てはまるのではないか?」とも感じられるのである。つまり、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」までが、「金融界のブラックホールが形成された期間」であり、その後の「量的緩和(QE)」については、「ブラックホールが蒸発する過程」だった可能性のことである。

別の言葉では、「金融の逆ピラミッド」が形成される過程で、「デリバティブの大膨張が大量のデジタル通貨を産み出した状況」だったものの、その後、「金融のメルトダウンが進展する過程で、さまざまなバブルが発生した展開」だったことも見て取れるのである。つまり、大量に創られた「デジタル通貨」が、「金利」を押しつぶした状況のことでもあるが、この結果として生み出された世界が、いわゆる「金融界のブラックホール」、すなわち、「金融面における仮想現実の世界」だったものと思われるのである。

より詳しく申し上げると、「世界的なコンピューターネットワークの形成」と「DX革命の進展」により、「人類は、未来の社会を垣間見ることができたのではないか?」と感じている。しかし、一方で、現在の問題点としては、「大膨張したマネー経済が産み出した『金融界のブラックホール』を、どのように処理するのか?」が指摘できるのである。別の言葉では、「11次元にまで発展した自然科学を、どのようにして、三次元の段階にとどまっている社会科学に応用するのか?」ということである。

そして、この時に参考になるのが、「仏教」などの「東洋の哲学」と「ミクロの物理学」との融合だと思われるが、実際には、「人間社会」と「大自然界」、そして、「神の世界」と思われる「法界(ほっかい)」とが、「どのように関係し、影響し合っているのか?」を考え、理解することである。