本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.2.15

日銀の金利抑圧リスク

2月14日に実施された「日銀による無制限の国債買いオペ」については、「2%の物価目標を達成するために、国債を購入し、強力な緩和政策を継続する」という理由が述べられている。つまり、「国債の買い付けにより、日本のインフレ率を上げることが可能である」という理論上の説明が付け加えられているようにも思われるが、現在の疑問点としては、「本当に、日本国民は、この説明を信じているのだろうか?」ということである。

より具体的に申し上げると、「空振りに終わった国債買いオペ」が象徴するように、「資金繰りに窮し始めている日銀」としては、「国債の買い付け資金調達」が難しくなっているために、「単なる口先介入」だけを目論んだ可能性も考えられるのである。別の言葉では、他の先進諸国よりも、金利上昇に対する抵抗力が弱くなっている「日銀」としては、「なりふり構わず、ありとあらゆる手段を行使して、金利上昇を抑えたい欲求」が存在する状況とも想定されるのである。

つまり、「日銀の目的」は、以前から申し上げているように、「2%の物価上昇」ではなく、「金利の抑圧」であり、その理由としては、「国債買い付けの資金として、民間金融機関から借り入れている当座預金」に関して、「超低金利状態を維持することにより、金利負担の上昇を抑えたい」という目的が存在する可能性である。そして、このような「無謀な金融政策」は、「日銀の役割」を超えた「禁じ手とも言える行為」だと思われるが、実際には、「いまだに、誰も、この点を指摘しない状況」となっているのである。

より具体的に申し上げると、「1971年のニクソンショック」や「1980年代初頭から大膨張を始めたデリバティブ」、そして、「マネーの大膨張に伴う先進各国の金利低下」を理解しない限り、今後の「金融大混乱」に対応することは不可能な状況のようにも感じている。別の言葉では、すでに始まった「世界的なインフレ(通貨価値の下落)」については、今後の数年間で、全体像が明らかになるものと考えているが、この時に必要とされることは、「お金の謎」を正確に理解することとも想定されるのである。

つまり、「デジタル通貨の枯渇」と「紙幣の大増刷」という、前代未聞の金融大混乱に遭遇している状況でありながら、ほとんどの人々が、いまだに、過去の残像に囚われ、「DX革命の進展により、世界経済は、より一層、発展する」というような認識を抱き続けているようだが、今後は、「ミクロの物理学」が指摘するように、「量子コンピューターなどの新たな技術」や「目に見えない精神的な分野」などへの注目が高まるものと感じている。