本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.2.13

全員が「億り人」になる時代

「マネーの歴史」を尋ねると、「人類の歴史」のみならず、「当時の人々が、どのような価値観で、どのような生き方をしてきたのか?」がはっきりと見えてくるものと感じているが、現在では、「億り人」、すなわち、「一億円の資産を持っている人々」が、「人生の成功者」と認識されているようである。つまり、「お金が神様となった時代」においては、これほどまでの異常事態が発生するものと思われるが、映画の「猿の惑星」と同様に、「どちらが正常なのかは、後世の人々が判断する状況」とも言えるようである。

より詳しく申し上げると、「お金が病んでいる」と危惧され始めた「1980年代の初頭」においては、まだ正常な判断ができる人々が、数多く存在したものと思われるが、その後の「日本の株式と土地のバブル」や「世界的なデリバティブのバブル」、あるいは、「DXのバブル」などを経験したことにより、「お金は増えるのが当たり前である」、そして、「どのような手段を使っても、お金を獲得した人が成功者である」というような認識が広まっていったようにも感じられるのである。

つまり、「お金があれば、物だけでなく、心まで買える」というような「誤った認識」が世界中で広がった可能性のことでもあるが、現在では、すでに、この点に関する劇的な変化が発生している状況とも言えるのである。具体的には、「インフレ」であり、また、「金利の上昇」のことだが、この点については、今後、更なる劇的な変化に見舞われるものと考えており、実際には、「2008年のジンバブエ」のような状況を想定している次第である。

より具体的に申し上げると、「100兆ジンバブエドルが、デノミにより、翌年に、1ジンバブエドルになった展開」のことだが、このような事例については、過去の歴史で頻繁に発生していることも見て取れるのである。つまり、全ての人々が「億り人」よりも「お金持ち」になったものの、実際には、「お金の価値が激減したことにより、誰も、その紙幣を欲しがらなくなった状況」のことである。

そして、この点に関する「人類史上最大の大転換」が、間もなく発生するものと考えているが、それは、現代の最も重要な貨幣となった「デジタル通貨」に関して、「中央銀行が、自爆テロとも呼べる行為」を実施し始める可能性のことである。つまり、「コンピューターネットワークの中を、紙幣が流れることができない」という事実を熟知していながらも、「資金繰りのために、紙幣の大増刷を始める展開」のことであるが、現在では、このことを察知した人々が、穀物や貴金属などの実物資産を買い始めた状況のようにも感じている。