本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.2.12

金利とインフレ率とのタイムラグ

世界の金融市場は、現在、大混乱の状態となっているが、この理由としては、「今までの無理に無理を重ねた金融政策に関する歪みが、金利の上昇とともに露見し始めた状況」が指摘できるようである。別の言葉では、「断末魔の叫び」とでも呼ぶべき様相を呈し始めた「世界の金融市場」については、今後、より一層の大激変に見舞われるものと考えているが、現時点で必要なことは、「金利とインフレ率のタイムラグ(時間的なずれ)」に関して、理由や原因を正確に把握することだと考えている。

つまり、本来は、「インフレ率の上昇を抑えるために、引き締め的な金融政策が実施される」という状況だったわけだが、現在のような「信用本位制」と呼ぶべき通貨制度においては、「正確なインフレ率」が理解できない状況となっているのである。具体的には、「現在、どのような商品と通貨が存在するのか?」ということであり、実際には、「統計数字で把握できない金融商品やデジタル通貨が、大量に存在する状況」となっているのである。

そのために、今回の「金融大混乱」については、「今までの常識」を捨て去ることが大切だと考えているが、特に、現在のような「金利上昇の遅れ」に関しては、「中央銀行や政府の思惑」を理解する必要性があるものと思われるのである。つまり、「金利の上昇が、国家財政の破たんにつながるリスク」のことであり、実際のところ、「日銀」に関しても、「短期金利が0.3%にまで上昇すると、債務超過に陥るリスクが存在する状況」となっているのである。

その結果として、現在でも、「国債の買い付けにより、超低金利状態を維持しようとする努力」が継続しているようだが、この点については、すでに、「インフレの大津波を人力で止めようとする状態」のようにも感じられるのである。つまり、「今後の数か月間で、世界全体がインフレの大津波に翻弄される可能性」を憂慮している状況でもあるが、この点に関して、最も注目すべき点は、やはり、「いつ、先進各国の中央銀行が、本格的なインフレ政策を実行し始めるのか?」ということである。

具体的には、「1991年のソ連」のように、「国債の買い手が消滅した時に、大々的に紙幣の増刷を実施した展開」のことである。そして、この点については、すでに「時間の問題」となっており、実際には、「暦のフラクタル(相似形)」などの利用により、「8月頃に、大きな転換点が訪れるのではないか?」と考えているが、後は、「中央銀行の動向」と「人々の認識」が、大きなカギを持っているようにも感じている。