本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2021.11.18

50年ぶりの水準に低下した円の実質実効為替レート

11月17日に「BIS(国際決済銀行)」が発表した「円の実質実効レート」によると、「日本の円安は、50年ぶりの水準にまで低下している状況」とのことである。つまり、通貨の総合的な実力を表す「実質実効為替レート」において、「日本の円は、68.71という、1972年前後の水準にまで低下した」と発表されたが、この時の注意点は、「2015年6月に、すでに、67.6の水準にまで低下していた事実」だと考えている。

より具体的には、「過去6年余りの期間は、日銀の金融政策などにより、円安の進行が停止していた状況」だったものと思われるが、今後は、「金利の急騰とともに、急速な円安が進展する展開」が危惧されるのである。つまり、「国家の体力」については、「為替」と「金利」で判断できるが、「過去数年間は、いわゆる異次元の金融緩和により、実態が隠蔽されていた状況」だったものと想定されるのである。

別の言葉では、「日銀における当座預金残高の大膨張」という「禁じ手中の禁じ手」とでも呼ぶべき行為により、「金利の上昇」が食い止められていたものの、「為替」に関しては、「ドルと円の価値が、他国通貨に対して、急激な低下を見せていた状況」だったのである。つまり、「実体経済」に関しては、すでに、実質的な水準低下が発生していたものの、実際には、大膨張した「マネー経済」の存在により、事実認識の理解が遅れたものと想定されるのである。

そのために、今後の展開として予想されることは、やはり、「デリバティブのバブル崩壊」が引き起こす「急激な金利上昇」であり、この時に、最も被害を受けるのが、過剰な債務を抱えている「日本」のようにも感じられるのである。つまり、現在の「日本」は、「1991年のソ連」と酷似した状況のようにも感じているが、実際には、「資本主義そのものが、崩壊を始めている状況」とも言えるようである。

より詳しく申し上げると、今後は、「世界全体が、ハイパーインフレに見舞われる可能性」が危惧されるわけだが、このことは、「1923年のドイツ」、あるいは、「1945年の日本」などのように、「国家の財政破綻が、通貨制度を破壊させる展開」とも言えるのである。しかも、現在は、「目に見えない単なる数字が根本の通貨となり、世界全体を動かしている状況」となっているために、今後の大混乱には、決して、予断を許さない展開も想定されるが、実際には、「ライプニッツの予定調和」などが指摘するとおりに、「すべてが神の計らいだった」という可能性も考えられるようである。