本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.10.12

デジタル革命の盲点

大自然界は、基本的に、「アナログ」であり、このことは、「時間」や「色」などのように、連続した無限の情報量を含んでいることを表しているが、一方で、「デジタル」については、「すべてのデータを0か1で処理する」というように、一部の情報だけを切り取って、より効率的な情報伝達を目論んだものと言えるようである。その結果として、「コンピューターネットワークの中における、データやデジタル通貨の効率的な流通」に関しては、きわめて有効な手段になったものと理解できるのである。

しかし、一方で、現在、注目すべき点は、「マネーへの過剰な信仰」や「DX革命」がもたらした「世界的な自然破壊」であり、この理由としては、「デジタル通貨の獲得」を目的とした人々が、「言語や情報の二重性」を無視した点が指摘できるものと感じている。つまり、「言語や情報には、目に見える文字の部分と、目に見えない感情の部分が存在する状況」のことだが、現在の「DX革命」においては、「目に見える部分」だけが強調され、その結果として、「人類の心や精神の部分」が忘れ去れられた状況とも言えるのである。

ただし、「100年ほど前からの変化」としては、「量子力学」や「分子生物学」などの、いわゆる「ミクロの物理学」と呼ぶべき分野が発展し始めた状況が指摘できるが、このことは、「DX革命」で切り取られた「アナログの部分」が復活を始めた状況とも考えられるようである。つまり、「大自然界を研究する自然科学」の分野においては、すでに、「デジタルからアナログへの変化」が発生している状況とも言えるが、一方で、「人間社会を研究する社会科学」の分野では、依然として、「アナログからデジタルへの流れ」が進行している状況とも理解できるのである。

別の言葉では、「デジタル通貨への信仰」が、依然として強い状況とも言えるが、この点に関して注目すべきポイントは、やはり、「マネー経済から実体経済への資金移動」だと感じている。つまり、「デジタル通貨が作り出した仮想現実の世界」から「大自然界が産み出す現実社会」への資金移動が始まったものと思われるが、この点に関して、大きな役割を果たしたのが、今回の「コロナ・ショック」だったものと感じている。

より具体的には、「このままの状況では、人類が大自然界から淘汰される可能性に気付かされた」という「人類の覚醒」に関して、きわめて大きな役割を果たした可能性のことでもあるが、今後は、「DX革命」で失われた「人類の精神性」が復活することにより、より高度な社会が発展する可能性に期待している。