本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.10.7

政治家の役割

最近行われた「野党トップの論戦中継」では、「国会議員の最も重要な役割は防衛と外交である」という意見が出るとともに、誰も反論できないような展開でもあったが、私自身としては、きわめて大きな違和感を覚えた状況でもあった。つまり、「政治家の役割」というのは、古来、「東洋学」でも示されているように、「国民が、安全で充実した生活を送ることに力を尽くす」という点にあるものと思われるからである。

別の言葉では、「国家の防衛、そして、外交」というのは、かつての「帝国主義の時代」において、「国民の財産や土地が脅かされないようにするために必要な手段」であり、現在では、「時代遅れの考え方」とも想定されるのである。つまり、現在、最も重要な問題は、今回の「ノーベル物理学賞」からも明らかなように、「地球温暖化への対応」であり、実際には、「防衛費を削減してでも、環境問題に予算を振り向ける努力」が必要な状況のようにも感じられるのである。

より詳しく申し上げると、今後、地球温暖化が、より一層、進行すると、「人類が、地球に住めなくなるような事態」も想定されており、そのような状況下では、「人間社会が創り出した財産や富が雲散霧消してしまう可能性」も予想されるのである。つまり、「武力や資金力で他人の富を奪い合う時代は、とっくに終焉したのではないか?」と考えているが、実際には、現在でも、「防衛予算が増額されている状況」となっているのである。

しかし、今後の展開については、「金利の上昇とともに、世界各国の国家債務問題が表面化する可能性」が指摘できるとともに、「大量に産み出されたデジタル通貨の消滅」などにより、「現代のお金を持っていても、物が買えなくなる時代」が到来するものと思われるのである。つまり、「1923年のドイツ」や「1945年の日本」、あるいは、「1991年のソ連」や「2008年のジンバブエ」などのように、「人々の信用が失われた通貨」については、「誰も、貴重な実物資産と交換を望まないような状況」となる可能性も存在するのである。

そのために、現時点で必要なことは、最低でも、「産業革命以降、人類が、どのような商品を生み出し、また、それに伴って、どのような通貨が創られたのか?」を理解することである。別の言葉では、「過剰なマネーが産み出した過剰な消費が、地球温暖化の原因の一つだった事実」を理解しながら、「今後、人類が、どのようにして地球で生活可能なのか?」を、世界全体で模索する努力の必要性だと考えている。