本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.9.7

米国軍のアフガン撤退

世界最強の軍事力を誇る米国軍は、「ベトナム戦争」以降、「イラク」や「リビヤ」、そして、今回の「アフガン」というように、連戦連敗の状態となっているが、この点について海外の識者は、「1600年前のローマ帝国の崩壊」と比較を始めている状況となっている。つまり、「帝国の終焉は、必ず、戦争の敗北と通貨コントロールが不能になる状況によって引き起こされる」という説のことだが、確かに、戦後の「米国」を考えると、「ベトナム戦争の敗北が実体経済の限界を示し、今回のアフガンの敗北がマネー経済の限界を示した状況」とも言えるようである。

より詳しく申し上げると、「1950年前後に、世界のGDPに関して約50%のシェアを持っていた」と言われる「米国」は、「ベトナム戦争の出費により、実体経済のみならず、マネー経済の悪化を招いた」という状況だったのである。そして、結果としては、「一時的な措置」と言われた「ニクソンショック」により、「通貨と商品との関係性」を切り離したわけだが、その後の「約50年間」については、ご存じのとおりに、「デリバティブの大膨張により、歴史上、きわめて異常なマネー大膨張が発生した」という状況だったことも見て取れるのである。

しかも、「2001年の9・11事件」の前後から、「デリバティブの残高が急成長を遂げた」という状況だったが、実際には、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」により、「デリバティブの残高が減少を始めた」という展開となったのである。別の言葉では、「デリバティブバブルの崩壊」という「金融面における大地震」が発生したものと想定されるが、この事実がほとんど報道されず、反対に、「量的緩和(QE)により、大量の資金が市中に放出されている」というような「大本営的な発表」がなされていたものと考えられるのである。

ただし、今回の「アフガンにおける米国軍の敗北」については、「20年間にわたり、8兆ドルの経費が使われ、90万人もの生命が失われた状況」とも報道されており、実際には、典型的な「帝国の崩壊を意味するのではないか?」とも理解され始めているのである。つまり、「西洋の物質文明が、今後、ほぼ瞬間的に、崩壊の時期を迎える可能性」が危惧され始めている状況となっているが、この時に、きわめて重要な役割を果たすのが、「デジタル通貨の存在」であり、実際には、「金融界の白血病」という言葉のとおりに、「コンピューターネットワークの中を流れることができずに、ほとんど役に立たなくなる可能性」が発生する事態とも想定されるである。