本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.9.8

一帯一路と文化大革命

過去数年間の「中国の劇的な変化」には驚かざるを得ないが、実際のところ、1980年代初頭から始まった「改革開放路線」、そして、最近の「一帯一路」については、完全に、「第二の文化大革命」に取って代わられた状況とも言えるようである。つまり、「一帯一路」が行き詰まりを見せてきたために、「習近平思想」という「マルクス主義の亡霊的な思想」を振りかざしながら、人民の思想的な強化に励んでいる状況とも思われるのである。

別の言葉では、今までに積み上げてきた「中国の国家としての信用」を失ってまでも、「国家統制」に励む姿は、まさに「独裁者の狂気」のようにも感じられるが、この点に関して、われわれが憂慮すべき事態は、「1991年のソ連崩壊以降、ロシアや中国の資本主義化により、世界的に積み上げられてきた信用、そして、マネー経済」だと考えている。つまり、「お金」は「信用」を形にしたものだが、実際には、「お金の量は、信用する人が増えるほど増える性質」が存在するのである。

より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以降、「マネーの総量が、金貨本位制の下、ほとんど変化しない状況が長く続いた状況」だった事実が見て取れるのである。あるいは、「1800年頃から始まった産業革命以降、徐々に、実体経済の成長が始まり、同時に、マネーの総量が増えていった」という展開のことでもあるが、この点に関する問題は、やはり、「1971年のニクソンショック以降、未曽有の規模とスピードで、世界的なマネーの大膨張が発生した」という事実である。

そして、この点に関して、より決定的な影響を与えたのが、「1991年のソ連崩壊」であり、また、「2000年前後から始まったデリバティブの大膨張」だったが、現在は、今までに積み上げてきた「デジタルマネー」を利用することにより、「辛うじて、超低金利政策の維持が可能な状態」となっているのである。別の言葉では、現在、「デリバティブ」と「債券」という「目に見えない金融ツィンタワー」がそびえ立っているものの、今後は、「金利上昇とともに、一挙に、ツインタワーが崩壊する可能性」が想定されるのである。

つまり、「1600年」という長期間にわたり積み上げられてきた「根本の信用」だけではなく、「神様となった現代のマネー」が、「金融界の白血病」で、瞬間的に消滅する可能性のことである。そして、限界点に達したときには、「浦島太郎の玉手箱」のように、瞬間的な変化が想定され、現在の中国も、再び、かつての三国志のような展開を迎えるものの、一方で、この時から、本格的な「東洋の時代」が始まるものと感じている。