本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.5.26

失われた30年の真相

「日本のバブル崩壊」から30年以上たった現在では、「この間に、どのような変化が発生したのか?」を具体的な数字で把握できるとともに、「なぜ、日本の経済が成長しなかったのか?」も理解できる段階に入ったものと考えている。具体的には、「商品と通貨の関係性」で、この期間を説明することだが、実際のところ、「戦後の日本」は、「自動車」や「家電」などの「実体経済を代表する商品」の輸出により、「外貨の獲得」、そして、「国民の預金増加」という状況だったことも見て取れるのである。

ただし、問題は、「1980年代のバブル」であり、この時に発生した「意識や行動の変化」は、「苦労してより良い商品を造るよりも、相場で楽に儲けたい」ということだったのである。つまり、「商品」よりも「通貨(お金)」に対する興味と関心が増えた状況であり、しかも、「最初の10年間」である「1990年代」は、「バブル崩壊が産み出した不良債権の動向」に対して、国民の危機感が高まった状況だったことも理解できるのである。

その結果として、海外で発生した変化、すなわち、「米国を中心にした、世界的なインターネット網の構築」、そして、「デリバティブという金融商品の大膨張」に関して、大きく出遅れてしまったことも認識できるのである。別の言葉では、「デリバティブが産み出した金融商品とデジタル通貨の存在」に関して、日本人が、ほとんど理解できない状況であり、その結果として、「米国に巻き込まれた形で、一部の金融機関が、デリバティブの取引に参加した」という展開のことである。

ただし、「デリバティブ」に関しては、ご存じのとおりに、「2008年のリーマンショック」の前後に「残高のピーク」を付け、その後は、「金融のメルトダウン」、すなわち、「大量に創られたデジタル通貨が、国債やビットコインなどの金融商品に染み出した状況」、あるいは、「デジタル通貨の活用により、世界の金融市場が価格操作された状況」だったことも見て取れるのである。

つまり、「国民の預金を使い、ゼロ金利やマイナス金利など、超低金利の蓋が形成された状態」のことだが、今後の変化としては、「紙幣通貨の大量発行」、そして、「金融コントロールの無力化」などにより、「紙幣に転換された通貨が、一次産品などに急速に押し寄せる展開」も想定されるのである。別の言葉では、「失われた30年」から「新たな時代」への大転換のことだが、このことは、「時間的な遅れ」や「理解の不足」が存在したものの、「1987年のブラックマンデー」で、私自身が、直感的に気づかされたことだった。