本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.2.16

統計数字の信憑性

現在、世界的に、「統計数字の信憑性」が問題視されているが、具体的には、「米国の雇用統計」や「中国のGDP」などが、ほとんど信用できない可能性のことである。つまり、「頻繁に改定されたり、あるいは、明らかに嘘とわかるような数字が報告されたりしている状況」のために、多くの金融専門家が、統計数字そのものを、ほとんど信用してないものと理解できるが、私の経験則からは、「1980年代から、すでに、このような事態が頻繁に発生していた状況」だったことも思い出されるのである。

より詳しく申し上げると、当時の米国では、「ほとんどのファンドマネージャーが、統計数字を信用せず、また、発表数字に、一喜一憂することもなかった」というような状況だったのである。そして、その後の問題点としては、「西暦2000年前後からのマネー大膨張」、すなわち、「デリバティブバブルの発生」により、「市場価格そのものが、政府やメガバンクによってコントロールされる展開」となったことも理解できるのである。

つまり、「金利」のみならず、「株価」や「為替」、あるいは、「商品価格」までもが、さまざまなプログラム売買によりコントロールされ、そのために、「統計数字」のみならず、「市場価格」そのものまでもが、信用できないような状態に陥ったことも見て取れるのである。別の言葉では、「日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)」などに象徴されるように、「国家の債務問題を先送りするために、力任せに、金利を操作した状況」だったが、現在では、その反動が出始めている状況とも言えるのである。

具体的には、「政府や中央銀行」への「信頼感の喪失」であり、その結果として、すでに、「金利や物価の上昇」が始まっていることも見て取れるが、これから予想される問題点としては、「最後の貸し手」と呼ばれる「中央銀行」の「資金繰り」とも考えられるのである。つまり、今までは、ありとあらゆる手段を講じることにより、「問題の先送り」が実施されてきたものの、現在では、「紙幣の増刷」か「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」しか、手段が残されていない状況とも考えられるのである。

しかも、このような状況については、世界的な理解が進むとともに、「BRICS諸国」を中心にして、「米国を中心とした西洋諸国の動き」を、注意深く見守っている状況とも思われるのである。つまり、「西洋諸国が、『1991年のソ連』のような状態に陥る可能性」を、鵜の目鷹の目で監視しているものと思われるために、今後の「金融政策の実施」に関しては、大きな制約が付く状況が想定されるものと感じている。