本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.2.12

権力の暴走と大衆の反逆

現在は、「暴走を始めた権力に対して、国民が耐えきれなくなった状況」とも思われるが、実際のところ、「世界第一位の経済大国である米国」においては、「貧富の格差により、約6割の人々が。その日暮らしの状態に陥っている」ともいわれているのである。また、「世界第二位の経済大国である中国」では、「不動産不況の深刻化により、給料の未払いまでもが発生している状況」とも報道されているのである。

そして、この理由としては、「西洋の没落」という書で、シュペングラーが指摘しているとおりに、「皇帝主義の完成」が、大きな意味を持っているものと感じているが、具体的には、「バブルの発生と崩壊」と同様に、「完成したものが、その瞬間から崩壊を始めた可能性」のことである。つまり、「グローバル共同体」の完成した「西暦2010年前後」に、「マネーの残高」がピークをつけるとともに、「個人の力」が最も弱くなった結果として、「皇帝のような絶対権力者」が、世界各地で誕生した状況のことである。

具体的には、「中国の習近平」であり、また、「ロシアのプーチン」、そして、「日本の自民党」や「米国のデリバティブを操るメガバンク」などのことでもあるが、実際には、「権力」の源泉である「軍事力」や「資金力」が振りかざされることにより、「大衆の権利が無理矢理押さえつけられた状態」だったようにも感じられるのである。しかし、一方で、その反動として、「過去15年あまりの世界」においては、「絶対的な権力者への反発心」が強まった可能性も考えられるのである。

別の言葉では、東洋の「非理法権天」という言葉の通りに、「非合理的なものが合理的なものに変化したものの、その後、法律の整備により隷従者が増え、その結果として、権力者の暴走が始まり、最後の段階で、大衆の覚醒という、天地自然の理が働き始めた展開」のことである。つまり、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以降、世界全体が、「共同体の結びつきがもたらすマネー残高の増加」が原動力となり、「さまざまな形での経済的、あるいは、社会的な発展がもたらされた展開」のことである。

そして、最後の段階では、「権力者の暴走」に耐えきれなくなった人々が、「民族の大移動」や「人民の反乱」などにより「大衆の反逆」を発生させ始めたものと思われるが、実際のところ、「1600年前の西暦424年の世界」においては、「西洋の民族大移動」、そして、「中国における五胡十六国時代」などからも明らかなように、それまでとは全く違った展開が見られたことも理解できるのである。