本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2024.1.7

通貨と信用

現代の投資家にとって最も必要とされることは、「通貨と信用」の理解とも思われるが、この理由としては、「金(ゴールド)がマネーであり、その他はすべてクレジット(信用)である」という「JPモルガンの言葉」が挙げられるものと考えている。つまり、「貨幣の歴史」をたどると、「1933年までの米国」に象徴されるように、「純金に近い金貨が貨幣として通用し、その時には、借金の総額が、きわめて小さな状況」だったことも見て取れるからである。

しかし、その後の展開としては、「1944年のブレトンウッズ会議」までの「金地金本位制」、あるいは、それ以降の「金為替本位制」という状況下で、徐々に、借金の総額が増えていったことも理解できるのである。別の言葉では、「バランスシートにおいて、資産と負債が同時に増えていった状況」のことでもあるが、この動きに決定的な変化を加えたのが、「1971年のニクソンショック」だったものと考えられるのである。

つまり、「金本位制」という「通貨供給量の制約」が取り払われために、その後は、「糸の切れた凧」のように、「バランスシートの増大」、すなわち、「民間企業や個人」、あるいは、「民間金融機関」、そして、「中央銀行や国家」のすべてにおいて、「資産と負債」が急増し始めたことも見て取れるのである。しかも、この時に、大きな役割を果たしたのが、「デジタル通貨の急増」、すなわち、「単なる数字が通貨となり、コンピューターネットワークの中で大膨張した状況」だったのである。

また、このような状況下で理解すべき最も重要なポイントとしては、「バランスシートの増加が続く限り、通貨の信用が保たれている状態」であり、このことが、「現代の通貨制度が、史上最大のポンジ・スキームである」といわれる所以となっているのである。つまり、「返済の目途がつかなくとも、資金繰りに問題がない限り、破綻に結びつかない状況」のことであり、しかも、「中央銀行や国家には、最後の手段である紙幣の増刷が残されている状況」のことである。

しかし、現在では、「1971年から始まった信用本位制と呼ぶべき通貨制度」そのものが「崩壊の危機」を迎えているために、現時点で必要なことは、「お金とは、いったい、どのようなものか?」を、歴史をたどりながら考えることであり、具体的には、「誰が借金をしているのか?」を理解しながら、「借りた人が返済しなかったら、負債と資産が同時に消滅する可能性」を考慮することである。