本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.12.18

1980年代と90年代の米国

「米国の金融情勢」については、「西暦2000年を境にして、大きく様変わりした状況」だったが、実際には、「1980年から2000年前後までが、米国が自信を喪失した時代」だったものの、一方で、「その後の約20年間は、基軸通貨国としての自信を回復した時代」だったことも見て取れるのである。つまり、「1980年代の米国」では、「製造業の空洞化」や「日本に対する巨額の貿易赤字」などにより、1985年に「プラザ合意」、すなわち、「基軸通貨であるドルに対して、先進五か国の通貨を一律10~12%幅で切り上げる合意」が形成された状況だったのである。

しかも、その後の「1990年代」においては、「貿易赤字や経常赤字」のみならず、「財政赤字」にまで悩まされた結果として、「米国の財政破綻」や「米国主要銀行の破産」までもが危惧されるような状況だったのである。つまり、「基軸通貨国としての地位が、完全に失われようとしていた状況」だったものの、この時に、大きな役割を果たしたのが、「民間主要銀行による、デリバティブの大膨張」だったことも見て取れるのである。

具体的には、「JPモルガンやGSなどの金融機関が、デリバティブのバブルを形成した状況」のことであり、この結果として発生した事態が、「デジタル通貨の大膨張」であり、また、その後の「デジタル革命」と呼ばれる状況だったのである。つまり、「世界的なコンピューターネットワークにおいて、さまざまな金融商品が形成されるとともに、GAFAMなどの巨大企業が発展した状況」のことである。

そして、現在では、「世界の株式市場において、米国株式の時価総額が約6割を占めるとともに、MAG7と呼ばれる7銘柄が、米国株式市場の3割を占める状態」とも報道されているのである。つまり、これほどまでの銘柄集中については、かつての「ニフティ・フィフティー相場」や「西暦2000年前後のITバブル相場」を、はるかに上回る状況であることも理解できるのである。

そのために、今後の展開としては、「デリバティブのバブル崩壊」とともに「米国の株式バブル」も崩壊する状況が想定されるが、「マネーの歴史」を辿ると、これほどまでの「マネーの大膨張」に関しては、実際のところ、「1600年ほど前の西ローマ帝国」にまでさかのぼらざるを得ない状況ともいえるのである。別の言葉では、「西暦423年以降の世界的な状況」を調べると、「これから、どのような世界が展開するのか?」が、ある程度、理解できる可能性のことである。