本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.7.27

米国金利の行方(改訂版)

米国では、2か月ぶりに、「0.25%の利上げ」が実施されたが、この点に関する意見として驚かされるのは、「今後、景気の悪化により、利下げが実施される」というものである。つまり、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」の時と同様に、「急激な利下げが実施される可能性」が期待されているようだが、この問題を考える時に参考になるのが、以前に使われた「家計の例え」だと感じている。

具体的には、「国家の歳出と歳入、そして、債務残高を家計に例える方法」のことであり、実際には、「日本の国家財政」が「600万円の年収、そして、1200万円の支出の家が、1.2億円の借金を抱えているような状況」のことである。そして、この方法を、現在のアメリカに応用すると、「年収が840万円、そして、支出が980万円で、しかも、3000万円の借金を抱えているような状況」とも言えるようだが、この時の問題点は、やはり、「デリバティブという隠れ借金の存在」とも理解できるのである。

このように、「日米の国家財政」に関しては、他の先進諸国と同様に、「決して、安心できるような状態」ではなく、反対に、「金利上昇と景気悪化により、資金繰りに問題が発生する可能性」も想定されるのである。つまり、今後は、「収入が減りながら、金利負担が増える展開」が指摘できるために、「決して、借金の金利低下が可能ではない状態」、あるいは、「高利貸しに借金を依頼せざるを得ないような状態」とも理解できるのである。

別の言葉では、「国債の買い手」が消滅し、「債務の貨幣化」、すなわち、「国家の債務を中央銀行の紙幣や通貨に置き換える方法」である「財政ファイナンス」が実施される事態までもが想定される展開のことである。つまり、今までは、「国債の魅力増加のために、利上げが実施されていた状況」だったものの、今後は、「国債価格の暴落により、市場金利の急騰が危惧される展開」も予想されるのである。

より具体的には、「デリバティブのバブル」が崩壊し、「G-SIBs(グローバルな金融システム上重要な銀行)の破綻が発生する可能性」でもあるが、この時に、重要な役割を果たすのが、「7月末から始まったFedNowという決済システム」だと考えている。つまり、「デリバティブや国家債務を、中央銀行が肩代わりする方法」とも想定されるために、今後の注目点は、「世界中の人々が、いつ、この事実に気付き、どのようにして換物運動が発生するのか?」とも思われるが、時間的な余裕がなくなった現在では、「一刻も早く、資産の一割程度を貴金属で保有すること」が必要な状況のようにも感じている。