本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.7.20

デリバティブとCBDC

現在、多くの国々で採用が予定されている「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」については、20年ほど前に大膨張した「デリバティブ」との正確な比較が必要な状況のようにも感じている。つまり、2000年前後に「約8000兆円」の規模だったデリバティブ(金融派生商品)は、その後、2008年前後に「約8京円」の規模にまで大膨張し、結果として、「世界的な低金利状態」や「債務の大膨張」をもたらしたのである。

別の言葉では、「1997年の世界的な信用収縮」を受けて、「人類史上、きわめて異例な金融政策」が実施されたわけだが、具体的には、「G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)を中心にして、オフバランス(簿外取引)、かつ、OTC(相対取引)によるデリバティブの大膨張」のことである。つまり、「民間銀行のバランスシートにおいて、デリバティブという金融商品とデジタル通貨が同時に大膨張した」という展開だったために、結果としては、「大量に創られたデジタル通貨が、民間金融機関の不良債権のみならず、国家の財務状況の改善に貢献した」という状況だったことも理解できるのである。

また、その後の「量的緩和(QE)」に関しては、「リフレーション政策」という「中央銀行のバランスシートを膨張させる方法」だったものの、「民間からの資金借り入れ」と「国債の買い付け」を実施することにより、「デフレ」や「超低金利状態」を維持することが可能だったものと考えられるのである。そして、今回も、「CBDCの導入」により「デリバティブの時と同様に、問題の先送りに関する成功体験」を再現しようとしているものと思われるが、今回の重要なポイントは、「CBDCで創り出される通貨が、紙幣の増刷と同様に、実物資産へ急激に流れ込む可能性」とも言えるのである。

より詳しく申し上げると、「デリバティブの大膨張」の場合には、「資金の受け皿となる金融商品」が存在したために、「インフレ指数に含まれる商品への資金流入」が少なかったものの、これから発行される「世界的なCBDC」に関しては、「既存の通貨や通貨制度、そして、発行する政府や中央銀行への信頼感」を、一挙に、失わせる効果が存在するものと想定されるのである。つまり、「お金(マネー)」は、「人々の信用」を形にしたものであるために、多くの人々が、「発行されたCBDC」に関して、「誰のために、また、なぜ、必要なのか?」という疑問を抱くものと考えられるのである。そして、結果としては、「貨幣の流通速度」が高まる可能性、すなわち、「受け取ったCBDCを使い、市場で食料品などへと交換する動き」が発生するものと考えられるために、今後は、世界的な「ハイパーインフレ」が急激に発生する可能性が危惧される状況のようにも感じている。